第3話 エルフの村の姿
窓から強い日差しが目の中に入ってくる。
顔をそらせてやり過ごそうにも寝返りするたびに日の光がレーザー光線のように顔を照らしつけてきた。
はぁ~(*´Д`)
目を覚まして部屋の中を見渡すと水瓶があり小さなテーブルの向こう側には二人が眠っている。
起き上がって水瓶の水を一口飲むと窓から刺す日差しが強い事に気が付いた。
どうやら朝日ではなく昼に近い時間まで眠ってしまったようだ。
それも無理もないだろう。
昨日は 散々歩いてようやく民家にたどり着いたと思ったら今度は矢が飛んでくるのだから
精神的にも疲れ切ってしまうという。
アケミはどうだろう?
いいや アケミはエルフのリーファと気が合うようで夜遅くまで話し込んでいた。
俺は変な夢を見たのも女子トークが聞こえていたせいで眠りに集中できなかったからなのかもしれない。
それにしても二人を眺めているとエルフの顔は日本人とは違う美しさがある。
ただ アケミと違って胸はぺちゃぱいのようだ。
「日本の優勝だ!」
アケミがエルフに勝利したことを日本人として誇らしいく思った。
もう少し近くで観察しようとテーブルのところまで歩くとリーファの耳がピクリと動き
目を覚ましてしまった。
「う。。うぁ~おはよう」と言うとアケミも目を覚まして眠気眼をこすりながら返事を返した。
顔を洗って朝食の準備にかかるリーファをアケミが手伝う。
トウモロコシの粉を練ってパンを作っているようだが俺も何か手伝おうと近寄ると
リーファは険しい顔をして「男は座ってる!」という。
俺が座ると二人はまた楽しそうに粉をこねだし 時々顔についた白い粉を見て笑い合ったり仲睦まじい姿に焼きもちを焼いてしまうほどだった。
少し照れ臭い気持ちにもなってきたので窓の外を眺めると日差しが高いのに村には人影がない。
「なあ 村長が捕まったって昨日話していたけど村の人たちも捕まったのか?」
リーファは首を振ると「長老と何人かのエルフが捕まった。でも 長老のおかげでみんなも逃げられた。 みんなの朝は まだ早い だから寝てる」と言う。
こんなに日が高いのに寝ているとはどういう事だろう?
俺は確かめるために外に出てみることにした。
相変わらず外には人がいなくて村の周りを一回りしてみたが一軒の家のドアが空いて
エルフが出てきた。
白い布を右手で握ってローマ人が着ている服のような姿の女のエルフに思わず声がもれた。
「裸じゃないか!」
シーツのような白い布一枚を羽織っただけで服を着ていない。
寝ぼけた顔でヨロヨロと井戸の方へ歩いていく
そのうち ほかの家のドアも開いて中から 寝間着の女エルフや下着姿のエルフも出てきた。
エロいというより だらしがない。
顔にヨダレの跡までつけてやる気のなさそうな顔で井戸へ向かって行った。
「これは どうなっているんだ・・」
不思議がっていると後ろからリーファの声がした。
「村長がいなくなって みんな ニートになった。ニートわかるか?」
リーファが言うにはこの村は女エルフの村らしく村長は村におきてを作り
常に美しくあること、強くあることを村人たちに求めていたという。
そのために 美女が住む村として有名になってしまったために男たちが村へ侵入しようと
何度も試みるが そのたびにエルフの力により成敗されていたという。
「だから 男は考えた。エルフ 寿命が長い、だからエルフは人生に目標を立てるのが苦手。村長を誘拐すれば村の者はいずれダラダラといしてニートになる」
人間でさへ 先延ばしにしてしまう悪い癖があるというのに人間の数倍生きることが出来るエルフが
一日一日を大切に生きようとすることが出来るだろうか?
リーファは 悲しげな顔で話をつづけた
「村長がいない村。このままでは男たちの楽園になる。それはダメ。だから 私一人で男たち おいはらってる」
リーファの態度が俺とアケミで違ったわけだ。
村のエルフたちを守るためにたった一人で男と戦っていたらしい。
それはそうとリーファがなぜ現れたのかと言うと どうやら朝食が出来たらしい。
笑顔で「アケミは料理が上手だ」とか「アケミと結婚したい」とか言っていた。
でも家が見えてくるとリーファの顔が曇り始め
ドアが壊されたように開いているのが俺の目にも見えた。
家の中に入ると 家の中は散乱していて争った跡がある。
「アケミ!」
「アケミ~どこ?」
アケミがいない。
テーブルの上には手紙が置かれていた。
俺が手に取って読んでみたが この世界の文字が読めない。
業を煮やしてリーファが俺の手から手紙を奪い取ると「南の岩山・・」と言って素早く外に出ると
村に繋がれている馬に乗って南の方へ駆けていった。
「追いかけなくちゃ」
俺も急いで馬にまたがって 手綱を振ったり引っ張ったりしてみたものの
乗りなれていないために 走り出すまでに時間がかかってしまった。
ブルブルブル
「動いてくれ!」