117章 CM撮影
ミサキはCMのオファーを受けることにした。結論を出すまでに、20~30時間くらい悩むこととなった。
「ミサキさん、お願いします」
朝から何も食べておらず、究極の空腹だった。1秒でも早く、アイスクリームを食べたい。
ミサキは雪見大福を口に入れる。濃厚なミルクの香り、柔らかい皮の絶妙感はたまらなかった。
「最高においしい・・・・・・」
雪見大福を次々と食べ進める。空腹ということもあって、ごちそうに感じられた。
9個目に突入しても、食欲は衰えるところを知らなかった。このおいしさであるならば、あと100個くらいは食べられると思われる。
9個の雪見大福を食べ終えたあと、カメラに笑顔を向ける。焼きそば店で鍛えられたからか、純粋な笑顔を作ることができた。
「ミサキさん、OKです」
5度くらいは映像を取ると思っていたので、1度で終わったことにびっくりした。
「ミサキさん、素晴らしい映像を取れました。本当にありがとうございます」
空腹に苦しんでいたからこそ、食べ物のありがたみを伝えることができた。満足に食べていたのだとしたら、あそこまでおいしいとは思わなかった。
ミサキの目の前に、大量のおにぎりが出現する。
「ミサキさん、100個のおにぎりです。こちらをお食べください」
ミサキはおにぎりを受け取ると、怒涛の勢いで食べ進めていく。
40個くらいのおにぎりを食べると、ミサキの手はストップした。
「ミサキさん、おなかは持ち直しましたか?」
「はい。もう大丈夫です」
ミサキは仕事で鍛えた、営業スマイルを見せた。
「無理をいってしまい、大変申し訳ありませんでした」
「いえいえ、大丈夫ですよ」
空腹になっても、1日は持ちこたえられる。すぐに倒れるわけではない。
「報酬につきましては、歩合制となっています。商品の販売数によって、手取り金額は増えていきますよ」
雪見大福はどれだけ売れるのか。CM出演する側として、大いに興味を持った。