330 さて、どうする?
ドワーフのおかみさんたちが、コンロを動かせるようにするか、いつもそこにあるようにするか聞いてきました。
サーヤ、分かんない⋯。こういう時は
「じーにしゃま~!ぎんしゃま~!」
二人に聞きに行きます!
〖サーヤ?どうしたの?〗
『どうしたのだ?』
ギン様は大工のおっちゃんをおいて帰って来てました。
てってってっと、走って
『よたよたしてるよね?』
『してるね~』
『ぽてぽてでもいいかもね』
『『あ~分かるよ』』
なんですか?おかみさんたち?
走って、ジーニ様に抱きつきます。そうすると、ひょいっと抱っこしてくれます。
〖サーヤ、どうしたの?〗
「あにょね~?おかみしゃんちゃちがね~、こんりょね、⋯にゃんだっけ?」こてんっ
〖うん?〗こてんっ
ありゃりゃ?
『外に作るコンロとやらを、常設にするか、可動式にするか聞いたら、分からないからお二人に聞くって、よた⋯走って来たんですよ』
「しょう。しょれ」
〖そうだったのね〗くすくす
そうでした。走ってきた!理由を、おかみさんが説明してくれました。
〖なるほど。そう言えば、そうよね?〗
ジーニ様もあ~ってなってます。
『そうですね。そういえば、この間、サーヤとゲンが何か作ると張り切ってませんでしたか?』
「う?」
そういえば?言ってたかも?えっと
「ごはん、ちゃ⋯たく、かまどに~。ふちゅうのこんりょに~、ばーべきゅーこんりょ~。やきとりようにょすみびやき~、いしやきいみょ~、ぴじゃがま~、さぎょうだいに、みじゅば?」
だっけかな?おいちゃん、早く戻ってきて~
『ず、ずいぶんたくさんだね』
『しかも、一台ずつじゃないよね?』
『聞いたことも無いのもあったね』
「う?」
そっか~。ピザとかないもんね~?お米もなかったもんね?ドワーフさんたち、まだお米も食べたことないよね?
『それだけのもの、野ざらしにするのもどうなのでしょうか?雨が降ることもありますし』
常設にした時のことをギン様が心配してます。でも、逆にどこにしまったら?
〖屋根作るとか?でも、そうすると大分場所とるわよね?ここで魔法練習したりしてるしね。それに、駆けずり回って遊ぶしね?〗
そうだよね~?じゃあ、動かせた方がいいのかな?でもピザ窯とか動かせるものかな?う~ん?
『まあ、今日必要な分だけ動かせるように作って、後のことは後日考えたらどうだい?』
『そうだね。空間拡張があるならしまう場所には困らないだろうしね』
『今の家を改装して、厨房を外と繋げるって手もあるしね』
〖そうね。ひとまずは、それでお願いしようかしらね〗
お~!さすがドワーフさん!職人集団!色々方法があるんだね!きらきらきらきらっ
『うっ⋯そんなキラキラした目で見られると』
『照れちまうね』
『アイナ様とニャーニャがやられるの分かるね』
たじたじ
「うにゅ?おねちゅ?」
お顔赤いよ?大丈夫?
〖くすくす。大丈夫よ。心配いらないわ。みんな通る道だからね〗
「ふにゅ?」
どういうこと?みんななるの?
『まあまあ。それじゃ、山桜桃と春陽とどんな風にするか、相談しながら作ってもらいましょうか』
〖そうね〗
「あい!」
ギン様の言う通りだね!
『『『任せとくれ!』』』
『『はい!』』
作戦開始~!
『やっぱり座ったまま⋯』
『それじゃこんな感じで⋯』
『小さい子たちは立ち上がっちゃうんじゃ⋯』
『だったらこう⋯』
『なるほど、そうしたら⋯』
『でもそれだと、僕たちや大人が⋯』
『じゃあ、こう⋯』
『すごい!それなら⋯』
お、おお!すごい!!なんだか意見が飛び交ってます!凄いものが出来上がりそうです!楽しみです。
「じーにしゃま、じーにしゃま!」ぺちぺちぺちぺち
思わずジーニ様のお胸ぺちぺちしちゃいます!
〖ふふ。大興奮ね~。すごいの出来上がりそうね~〗
「あい!たのちみね~」
〖「ね~♪」〗
そうこうしてると、ドワーフさん達のおうちを建てる場所を見てきた、ドワーフのおっちゃんが戻ってきました。
『ただいま。ん?あいつらは何をしてんだ?』
「おかいり~」
〖お帰りなさい。どうだった?向こうは〗
おっちゃんは、おかみさんたちが気になったみたいだけど、ジーニ様に聞かれて、思い出した!って感じで喋りだしました!
『ああ!いい土地をありがとよ!凄いな!やっぱりここは!』ふははっ!
「ふお?だいこうふん?」
〖そうみたいね~?で、なにがあったの?〗
ジーニ様は、なんだか想像出来る気がするけど~ってぼそっと言いながら聞きます。
『ほら!家建てちまったらよ?下に何か貴重なもんが埋まってたら掘り出せないだろ?だからな?まず大地様に調べてもらったんだよ』
「う?」
うん?まず?
〖あら?〗
大地だけじゃダメだったのかしらね?
『そしたらよ?すんげぇ遠い目をして固まっちまってよ?仕方ないからアイナ様呼んだらよ?また遠い目をして固まっちまったんだよ』
「ふあ~?」
凄いのが埋まってたってこと~?
〖気の毒に⋯〗
想像つくわね~
『それでな?ニャーニャが飛び蹴りしてお二人を叩き起してな?』
「ほえ?」
ニャーニャにゃん?もっと優しく⋯
〖飛び蹴り?〗
ニャーニャ、飛び蹴りって何をしてるの⋯
『それで、目が覚めた二人が相談してな?トレントたちを呼んで、木を全部退けてくれたんだよ。あっ、マンドラゴラたちは貴重な薬草があったらしくてな?それを摘んでくれてたぞ』
「ふあ~」
すごいね~トレちゃんとゴラちゃんたち。
〖もう、さすがとしか言えないわね~〗
すごいわね~
『そしたら、大地様とアイナ様がな力を合わせてよ?地面の下から素材を掘り起こしてくれたんだけどよ!これがでっかい鉄鉱石やら、魔鉱石やら、ミスリルの塊やら、わんさと出ときてな?出てきすぎて地面が他より下がっちまってよ!ワハハハハ』
〖「あ、あはははは…」〗
笑うしかないね~
そうね~
『そんなもんでな?お二人が土を増やして、平にしておいてくれるって言うから任せてきたんだよ』
〖「へ、へ~」〗
かわいそう⋯
そうね⋯
『あっ!そうそう!あのトレントたちすげえな!退けた木をよ?丸太にしてくれてよ、まとめてくれたんだ!手間が省けちまったよ。大地様のゴーレムが手伝いながら唖然としてたけどな!ゴーレムも表情があるんだな!ワハハハハ』
「しょ、しょっか~」
『ゴーレムも⋯』
ゴーレムさんもかわいそう⋯
ほんとね⋯
『そういうことで、一度戻ってきたんだけどよ?あれは何してんだ?』
「う?」
『あれ?』
あ~
あれね~
「こんりょ!」
『こんりょ?』
なんだそりゃ?と首を傾げるおっちゃん
『コンロね。ご飯をみんなで作って食べようってことになったんだけど、それを焼く物がなくてね。今、それを作るべく相談してくれてるのよ』
そうそう。
『なんだと?そんな楽しいこと俺もやるぞ!じゃあな!行ってくるぜ!』
びゅんっ!
「い、いってらっちゃい」
〖よ、よろしくね~〗
うわ~
「おっちゃん、げんき」
〖ほんとね〗
疲れ知らずな元気なおっちゃんを、ぼーぜんと見送るサーヤとジーニ様でした。
『わ、私もいたんだが⋯』
あっギン様⋯静かすぎて忘れてました。
『⋯そうか』
ごめしゃい。