289章 カスミンの髪の毛
カスミは瞳をウルウルとさせていた。
「アカネさんの家は、いろいろとすごいですね」
大金をかけて、家の設備を整える。アカネの家の中は、最先端の技術をふんだんに詰め込まれている。
「アカネさんの家には、知らないものがたくさんありますね」
カスミは冷蔵庫を指さす。
「これは何というんですか?」
「冷蔵庫だよ。食材を入れることによって、長持ちするようになるの」
「便利な道具ですね」
バナナ、飴だけの食生活に、冷蔵庫は不要である。
カスミはドライヤーを指さす。
「これは何ですか?」
「ドライヤーだよ。髪の毛を乾かすことができるよ」
髪の長い女性にとって、ドライヤーは必須アイテム。髪の内部に熱を送り込むことで、余計な水分を除去できる。
「カスミンも使ってみる?」
「今日は髪が乾いたので、次回に使おうと思います」
カスミの髪の毛を触ると、水分はきっちりと拭き取られている。ドライヤーなしで、ここまでできるとは思わなかった。
ドライヤーは便利な反面、マイナスの要素もある。熱を当てすぎると、髪の毛に大きなダメージを与える。キューティクルを痛めると、髪質は大きく劣化する。
「アカネさんの掌で、髪の毛が躍動しています」
「カスミン・・・・・・」
「アカネさん、好きなだけ触っていいですよ」
アカネは髪の毛を触っている手を離す。掌にはとっても柔らかい感触が残っていた。ドライヤーを使わなかったからこそ、自然の状態を維持できた。
ハルキがお風呂から上がってきた。彼女の髪の毛も、とっても潤っているように感じられた。