子供服を着れる女の子はお得
その後、しばらくミュージアム内を色々と見て回った。
主に幼児が喜ぶような等身大の人形だったり、パンパンマンの世界に出るお店やパンパンマン号の乗り物など。
大人では入りづらい狭い遊具に、小柄なアンナはあちこち入って、俺にスマホで写真を取るように要求する。
正直、近くに赤ちゃんが待っているから、他の親御さんの目が痛い。
一通り、ミュージアムを見終わったあとは、ショッピングタイム。
中でもアンナが一番気に入ったのが、キンキンマンのパートナーであるズキンちゃんのおしゃれショップ。
女の子向けのアクセサリーやグッズが販売されている。
店内も女児が喜びそうなピンク色。
「カワイイ~☆ あ、タッくん。これ、見てよ!」
なにかを見つけたアンナが、俺の袖を強く引っ張る。
「どうした?」
彼女が指差すのは、一枚のパネル。
『ズキンちゃんおしゃれショップで5000円以上お買い物してくれた女の子には、可愛いドレスをレンタルできるよ♪』
「……」
まさかと思ったが。
「買う買う! ズキンちゃんのドレス、アンナ着たい!」
「ちょっと待て。これって子供用のドレスだろ? 大人のアンナが着ていいのか?」
俺がそう言うと、彼女は頬を膨らませる。
「なに言っているの、タッくん? 着ていいよ! アンナは細いから子供サイズでも着れるもん! タッくんは、アンナがブタさんにでも見えるって言いたいの!?」
怒られちゃったよ……。
「そう言う問題じゃないだろ。子供が着るものであって、サイズどうこうじゃなく、ほら。近くにいる幼い女の子が着て楽しむものだと言いたいんだ。道徳的な問題だ」
俺は近くでピンクのドレスを来た女児を指差して、彼女に遠慮するよう促す。
「だから?」
全然、響いていない。
「いや……大人の俺たちはやめておいた方が……」
「アンナだってズキンちゃん、大好きだもん! 子供の時から!」
興奮しているのか、口調が強くなる。
周りにいた親たちもアンナの大きな声に気がつき、こちらをチラチラと見ている。
アンナはまだ言い足りないようで。
「好きなものを好きと言って、何が悪いの? アンナ、生まれて初めてパンパンマンミュージアムに来たんだよ! 女の子の夢なんだから、ドレス着たっていいじゃん!」
言い終える頃には涙目だった。
「あ、その……」
うろたえている俺を見兼ねた近くのスタッフが声をかける。
「お客様。当店ではサイズさえ合えば、大きな女の子でもドレスは着用できますので、ご安心されてください」
引きつった笑顔が辛い。
「そ、そうですか……すまん、アンナ。俺が間違っていたようだ」
泣きじゃくる彼女を優しくなだめる。
「んぐっ…ひっく……女の子はドレスが好きなの…覚えておいてよ、タッくん」
「はい」
お前は男だけどな。
機嫌を取り直したアンナは、店内でズキンちゃんグッズを爆買いしていた。
主にヘアピンやバッグなど。中には女児用のパンツまであったが。
それさえも……。
「これ、アンナなら履けるよ☆」
とマストバイ。
余裕で5000円以上、お会計。
無事にズキンちゃんのピンクドレスをレンタルすることが出来た。
更衣室なんてないから、小さなカーテンだけで仕切った狭い店内にて着替えを始める。
元々、子供用に設計されているから、カーテンの高さも低い。
だからアンナより身長が高い俺は、着替えている彼女が丸見え。
「んしょっと……」
俺に背名を向けているので、小ぶりの可愛らしい尻が丸見え。
あ、今日は純白のパンティか。
ゴクリ。
「お待たせ~☆」
ドレスというには丈が短すぎた。
だって幼児用のサイズだから。
ミニのワンピースに近い。
ティアラを頭につけ、ピンク色のドレスを可愛く着こなす。
ドレスと言っても、子供が簡単に着用できるよう、デザインしてある。
両肩にリボンの紐で括りつけているだけだ。
少しでも緩めば、アンナが赤ちゃん状態になってしまう恐れがあった。
「どうかな? 似合っている?」
満足そうに微笑む15歳。(♂)
だが、これはこれでカワイイ……。
ミニ丈というのが俺的にポイント高い。
しかも、肩を露出してしまっているから、白のブラヒモが丸見え。
「ああ……に、似合っている。すごくイイぞ!」
何故か叫んでしまった。
「うれしい☆ タッくん、あっちで写真撮って☆」
「おお! 撮るぞ撮るぞ! めっちゃ連写してやるからな!」
それからの俺たちは、二人だけの空間に入ってしまう。
周りの目なんて気にせず、店内奥にあった小さなスタジオで撮影タイム。
アンナもやる気マンマンで、ズキンちゃんのドレッサーに座り、鏡越しにおもちゃの口紅を手に持ち、ポーズする。
俺はすかさず、スマホで連写しまくる。
背後がガラスで仕切られているから、他の客がジロジロと見てくるが、そんなこと気にする余裕なんてない。
ハート型のイスに座って、膝を組むアンナが可愛すぎる!
そしてパンツが見えそう。
腰を屈めてポージングしてくれる神対応だ。
ブラジャーが露わになり、胸の谷間? が見える見える!
「タッくん。なんだか楽しそうだね☆」
「ああ! めっちゃ楽しいな! パンパンマンミュージアム! また来よう!」
「うん☆ 約束だよ☆」