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308 おいちゃん参上!

みんなが笑うんだよ~。でも、どうして笑うのか教えてくれません。
「ぶー」

『すまんすまん。おばあちゃんがすごくて、サーヤがかわいいということだ』
『そうですわ。最高ですわ』
『サーヤちゃんはそのままでいてにゃ』

あ~苦しいってまだくすくすしながらギン様たちがいいます。なんか、もやもやです。でも、おばあちゃんがすごいっ言ってくれてるから許してあげます。

『ありがとう』
『ありがとうございますですわ』
『ありがとうにゃ』

ふ~仕方ないですね。

『また顔で会話してるな』
『してるね。どうなってんだろね』
慣れですよ?慣れ。
『『そんなもんか(ね)?』』
そうですよ

『さあ、それより続きは歩きながらにしよう。ジーニ様たちもお待ちだ。ドワーフの皆さまもよろしいか?』
ギン様が歩きながら自己紹介しようって。

『もちろんです。神々を待たせては申し訳ないですからな』
『ありがとう。それから、喋り方も私には崩してもらって大丈夫です。これから協力していくのです。遠慮は無しでいきませんか?』
『ありがとうございます。では、普段通りにさせていた…もらおうか。すまんな。どうも堅苦しいのは苦手なんだ。森の主様も普段通りで頼むよ』
『では、そうさせてもらおう。ああ、呼び方もギンで大丈夫だ』
『ありがとよ。改めて、よろしくな。ギン様』
『こちらこそ、よろしく頼む』

お~男の友情ってやつかな~?
「ぎんしゃま~。おやかたちょ、なかよちなっちゃ?」

『ああ。そうだな。仲良しだぞ』
『その通りだ。サーヤも仲良くしてくれるか?』

「なかよち、いい?」ぱーっ
ギン様と親方仲良し!サーヤも仲良し!

『あらあらサーヤちゃんのお顔が、ぱーっとなりましたわね』
『わかりやすいにゃね~。サーヤちゃん、親方なら触らせてくれるかもしれないにゃよ?』
『くすくす。そうですわね。お願いしてみたらどうでしょうか?』
一目見たときから立派なお髭を触りたかったサーヤ。
アイナ様とニャーニャにゃんはお見通し♪

「ほんちょ~?」
大丈夫かな~?

『はい』にこにこ
『大丈夫にゃ』にこにこ

「じゃあ~」もじもじ
聞いてみていいかな~?。

『もじもじ具合がかわいいですわ~』
『やっぱり、わかりやすいにゃね~』

「あにょ、あにょね~?」
『ん?なんだ?』
「おひげ、しゃわっていい~?」
キラキラおめめで聞いてみます。

『ん?ワハハハッ 俺の自慢の髭に目をつけるとは、なかなかだな!いいぞ。ただ、引っ張るのはなしだぞ』バチンっ
ウインクしながら、了解してくれました。おちゃめさんです!

「あいがちょ!」にぱーっ
やったあ♪アイナ様たちもありがとう~

『あらあら。更に、ぱーっとなりましたわね』
『おめめキラキラもパワーアップにゃ』

ドワーフさんはあんまり大きくないので、ちょっと屈んでくれたら、サーヤにもおひげが届きました。おそるおそる触ると、ふさぁ~
「ほわ~あああ」
ふわふわ~!さらさら~!

『おやまあ、すごいね~』
『兄貴、食われそうだな』
『顔面キラキラだね~』
『抱きつきそうな勢いだな』
『あっ抱きつかれたね』
ドワーフさんたちが何か言ってますが、それどころではありません!

「ふわふわ~。おいちゃんに、ちゅげにょおくし、ちゅくってもりゃおう!」
『つ、つげのくし?おいちゃん?』
「ちゅばきあぶりゃ、もうしゅぐできりゅ!ちゅやちゅやなりゅ!」
『つ、つばきあぶら?つやつや?』

「あい!んちょ、こりぇー!さーやにょ、たかりゃもにょ!」
ポシェットからつげの櫛を取り出します。自分の髪の毛を毛先からとかして見せます。
ほらね!つやつやでしょ?

『おぉ!すげえな!これ木か?』
みるみるツヤが増すのを見て親方だけじゃなくてドワーフみんなが飛びついた!

『ちょ、ちょっとその櫛、見せてくれるか?』

「うにゅ?こりぇ、だいじ。おばあちゃんちょ、おしょろい。こわしゃない?」
親方たちがなんだか迫力です。宝物だから、どうしようかな?

『もちろんだ!そんな芸術品壊さねえよ!』

そう?それなら
「わかっちゃ~。はい。どうじょ」
優しくしてね。

『お前、これ手の平にのせてみんなに見せてくれ』
親方も自分が持つよりいいと思ったのか、おかみさんに頼みました。

『あいよ。サーヤちゃん。ここにのせてくれるかい?』
「あい」
おかみさんの手の平にのせると

『な、なんて滑らかで艶やかな触り心地だい。ドワーフでも、エルフでもこんなもんは作れないんじゃないかい?』
みんなが撫でて確かめています。すごく慎重に撫でてます。

『すげえな。これ、油か?でも、ベタついてるわけじゃないな』
『艶出し?潤滑剤?』
なんか、みんなでわいわいし始めちゃいました。

「あわわわわ」
どうしよう~。その時

『何やってんだ。お前は』
ぺしっ
「あいちゃっ!おいちゃん」
あわあわしてたら、いつの間にかおいちゃんが横にいました。

『なかなか来ないから、様子見に来たんだよ』
「おいちゃん。おくし⋯」
親方たちが~
『ああ、見せちまったのかぁ』
「あい。おひげ、しゃわらしぇてもらっちゃ。ふわふわ。おくしで、もっちょ、ちゅやちゅや」
おいちゃんにどうしてこうなったか説明します。

『なるほどな。髭を触らせてもらったら、ふわふわサラサラだったと。それでサーヤは感激して、つげの櫛と椿油で手入れをしたら、つやつや感も加わってもっと良くなると思ったんだな』

うんうん。その通りだよ。

『それで興奮して、つい自分の宝物のつげの櫛を見せてしまった。そしたら今度は、ドワーフさんたちが夢中になってしまった。と、こんなところか?』

「あい」
さすがおいちゃんです。

『さすが、ゲンだな。あの説明であそこまで理解するとは』
『ほんとですわね~』
『さすがゲンさんにゃ。すごいにゃ~』

ん?ギン様、あの説明ってなんですか?サーヤ、ちゃんと説明できたでしょ?
『そうだな。すまん』
分かってくれれば良いのです。

『ん?おいちゃんってのは、アイナ様が言ってたゲンさんのことだったのか。⋯そうか、あんたが』
アイナ様から話を聞いていた親方と奥さん。複雑な顔をしてます。
訳が分からないサーヤは首を傾げてるが、ゲンは何か察したようだ。

『あんたたちがドワーフの長さんたちだな。初めまして。俺はゲン。来てくれてありがとう』
握手を求めるゲンに、親方たちも吹っ切ったように笑顔で握手に応える。

『ああ。よろしく頼む。俺がドワーフの長だ。あんたに会えて嬉しいよ』
『そうか。そりゃ光栄だな。ところでその櫛が気になるなら後で一緒に作るか?ってか、実は手伝ってくれるとありがたいんだ。ジーニ様たちにせっつかれててな。材料も今育ててるんだよ』
おいちゃんが苦笑いしながら誘うと、

『『『本当か!?』』』
『『『いいのかい!?』』』
押し倒さんばかりの勢いで親方がおいちゃんの両手をにぎってきました。おかみさんたちまで押し寄せました。

『あ、ああ』
おいちゃん、顔がひきつってるよ。

『ぜひ頼むよ!』
『『俺も!』』
『『『私も!』』』
ドワーフさん、全員食いついた!さすがもの作りが大好きなドワーフさんたちです。

『あ、ああ。分かったよ』
あ~あ。あっお櫛は返してもらったよ。ほっ。でもぉ

「おいちゃん、めーめーしゃん、しゃき」
めーめーさんを忘れちゃいけません。先にバリカンです。
『あっすまん』
まったく、ダメダメですね。ふ~う。

『たしか、この騒ぎの発端はサーヤだったような?』
『そうですわね、ギン様。ですが』
『サーヤちゃんだからにゃ』
『『仕方ないです(にゃ)わ』』
『そうだな⋯』ふぅ⋯

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