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298 その頃、あの方たちは

聖域でみんなが、畑会議(?)を開いている頃、自分の治める地に帰ってきたアイナ様とニャーニャにゃん。

『ふぅ~。帰ってきましたけれど、自分の里なのにこんなに緊張するなんて初めてですわ』
アイナ様は頬に手を当てて、ため息混じりに言います。サーヤが見てたら
「ふおお~びじんしゃんにょ、ちゃめいき、めにょほよー」
とか言いそうな感じです。

『わかるにゃ。ニャーニャもにゃ。なんて説明したらいいか考えると、頭が痛いにゃ』
『本当ですわね~』
『『はあ~』』

二人同時にため息をついていると、ちょうどそこへ

『おう!地の精霊王様にニャーニャじゃねぇか!お帰り!なんでそんなところで黄昏てんだ?』

採掘して来たのであろう、重そうな袋を軽々と背負ったドワーフの長、親方がいた。

『親方。ただいま戻りましたわ』
『ただいまにゃ!』

『おう!お帰り。ん?チビはどうした?一緒じゃないのか?』
一緒に行ったはずのココロがいないことに気づいた親方に、顔を見合わせるアイナ様たち。

『実は…』
『親方に相談があるにゃ』
『俺に?』
アイナ様たちは落ち着いて話そうと、親方をひとまず自分の館へと、連れて行った。

『どうぞ。聖域で頂いてきたお茶とお菓子ですわ』
『とってもおいしいにゃよ!』

『へ~。どれどれ?』

さあ、作戦開始ですわ。
了解にゃ!


実は、前日の夜。できるおいちゃんは、サーヤたちが寝静まった頃、アイナ様とニャーニャにゃんにこんなことをしていた。

『なあ、アイナ様、ニャーニャ』

『はい。なんでしょうか?』
『なんにゃ?』

『いつか分からないけど、ドワーフって人たちに、聖域に来てくれるように、頼みに行ってくれるんだよな?』

『そうですわね』
『そうにゃ』
ゲンさんは何を言いたいのでしょう?と思っていると

『じゃあさ、鉱石以外にも、こんなもんがあるぞって気を引けるもんがあったら、喜んで来てくれるかもしれないよな?』

『そうですわね。でも、じゅうぶん鉱石だけでも興味を引くと思いますわよ?』
『ドワーフは気になるものは突き詰めないと気が済まない質だからにゃ~』
アイナ様とニャーニャにゃんは鉱石だけでも十分だと思っていたが、おいちゃんはそうではなかった。おいちゃんのモットーは、「念には念を」なのである。

『でも、来てもらうのは家族でだろ?旦那の興味を引くだけじゃだめだよな?』

『そうですわね…』
『でも、奥さんたちも同じドワーフにゃ。気になったらまっしぐらにゃ』

『ふむ。それは食いもんでもいけるか?』ニヤリ

そうか!と、アイナ様とニャーニャにゃんもゲンが言いたいことが分かったようだ。

『もちろんですわ!興味を持つこと間違いないですわ!ですわよね?ニャーニャ』
『はいにゃ!間違いないにゃ!珍しいものとか、あと、お酒に合いそうなものなら、更に確実にゃ!』

『ふふふふ。それじゃ、作戦会議といこうじゃないか』ニヤリ
『はいですわ』くふっ
『もちろんにゃ…』ぐふふっ
悪の組織の会合?

『なぁに?あれぇ』
〖さあ?なんか不気味ね〗
〖なんだか悪いお顔してますね?〗
〖面白そうです。参加してきます〗
『それなら私もぉ』
〖〖あっずるい!私も〗〗

と、いう感じで結葉様や神様たちも加わり…
『家族で来てもらうなら…』
『では、こういうのは…』
『いいにゃね…』
〖まだまだですよ。それなら…〗
『さすが、悪…賢いわねぇ』
〖それじゃあ、こんなのは…〗
〖いいですね。でしたら…〗
ああでもないこうでもない…
ぐふふふふ……
やっぱり悪の組織?

『黒いな、あそこ』
『そうですね』
『アルコン様、小僧。こういう時は気付かないふりが一番ですじゃ』
『そうだのぉ。ゲンが言うとったのぉ』
『『触らぬ神に祟りなし…』』ずずっ
『ああ。そうだな』ずずっ
『奥深い言葉ですね』ずずっ
じぃじたちと、その他大人は見ないことにした。茶をすすりながら⋯


そして
『地の精霊王様、ニャーニャ。お帰り。ウチのがお邪魔してるって聞いたんだけど、疲れてるだろうに悪いね』
ニャーニャが使いを出して親方の奥さん、通称「おかみさん」も呼んできてもらった。

『ようこそ、お越しくださいました。お呼び立てしてしまって申し訳ございません。ただいま戻りましたわ』
『ただいまにゃ!』
『さあ、お座りになってくださいませ』
『今、お茶用意するにゃ』
おかみさんも作戦に引き込むべく、動き出すアイナ様とニャーニャ。

『そんな、おかまいなく…って、あんた、何してんだい!?』
『うぐっ!』

食いついたっ!ですわ!
よっしゃー!にゃ!
ニャーニャ!どんどん行きますわよ!
はいにゃ!作戦開始にゃ!

『おかみさんもどうぞ。聖域で頂いてきたお菓子ですわ』
『お茶もどうぞにゃ。今、入れるにゃ。これも聖域で貰ってきたにゃ』

『え、ええ?聖域の?ありがとう⋯じゃなくてっ、あんた!何、かっこんでんだい!はしたない!』
『だ、だってよ、お前!これは絶対酒に合う!』
『だからなんだってんだい!頂いたなら尚のこと、もっと上品に食べろってんだよ!』
バシッ
『痛えなっ』
アイナ様の前だろうと容赦なし。

『まあまあ、おかみさんにはこちらを。親方にはお酒に合いそうなものをお出ししたのですけど、やはり女性は甘いものも必要ですわよね』
『お茶もどうぞにゃ。ちょっとした渋みがくせになるにゃ』
『そのお菓子、甘みもありますけど、お酒のつまみにもなるのですって』
『ニャーニャはお酒飲めないから、こっちにするにゃ』
『では、私はお茶はおかみさんと同じで、お菓子はこちらにしましょう。甘いお菓子にはやはりこちらが』
『え~ニャーニャはこっちがおいしいにゃ!』
『こちらですわ!』
『こっちにゃ!』
アイナ様とニャーニャにゃんのやり取りに、一人一人違う物が用意されてることに気づいた親方夫婦。

『まあまあ、ふたりとも、落ち着いて。せっかくなんだから、みんなで仲良く…』
『そ、そうだな。仲がいいのが一番だと思うぞ』
二人とも、普段仲のいい地の精霊王たちが争うほどの物なのかと、ゴクリっと喉がなっている。

かかりましたわ!
かかったにゃ!
さすがゲンさん、読み通り(にゃ)ですわ!

二人の目がキラーンっと光った。

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お読みいただきありがとうございますm(*_ _)m

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