205章 新たな事件
二人で家に戻ってきた。
「アカネさん、いろいろとありがとうございます」
お寿司を食べた効果なのか、陽気さを取り戻しつつあった。
「どういたしまして・・・・・・」
「生のサーモンはとってもおいしいですね。機会があったら、食べてみたいです」
コハルは生魚が好き、ミライは生魚を苦手とする。食べ物の好みについては、まるでかみ合っ
ていない。
「コハルさん、夕食は何を食べたい?」
「冷蔵にあるものの中から、アカネさんが選んでください」
冷蔵庫の中には、最高級の食材のオンパレード。これだけあれば、おなかを満たせるのではなかろうか。
「セカンド牛+++++」を取り出す前に、コハルに声をかけられた。
「一般家庭で食べられる、標準的な材料でお願いしたいです」
「コハルさん・・・・・・」
「最高級の食事よりも、一般的なものを食べたいです」
通常の食事を食べさせてあげたいけど、冷蔵庫に入っていなかった。
「コハルさん、通常の食材は入れていないの。冷蔵庫に入っているのは、最高級の食事だけな
の」
「そうなんですか?」
アカネは小刻みにうなずいた。
「普通のものを食べたいなら、スーパーに買い物に行こう」
「いいんですか?」
「うん。いいよ」
買い出しを終えたあとに、ご飯を作ることは十分に可能である。
「コハルさん、どんなものが食べたい」
「生のサーモンを食べたいです」
寿司を食べたことで、生魚の虜になったらしい。
「わかった。サーモンを買いに行こう」
「ありがとうございます」
買い物に出かけようと思っていると、扉のほうから、ドスン、ドスンという音がする。尋常ではない音だったので、ただごとではないのを悟った。
アカネが扉を開けると、女性は大声で叫んだ。
「放火事件が発生しました。被害を食い止めてください」
殺人未遂事件が起きた直後に、放火事件が発生するとは。平和だった町は、どこにいってしまったのだろうか。
「火事の場所はどこですか?」
「ここになります」
「わかりました。すぐに向かいます」
女性の示した場所に、瞬間移動する。