バナー画像 お気に入り登録 応援する

文字の大きさ

11. ダンジョン攻略指南

 11. ダンジョン攻略指南



 私たちはギルドでダンジョン攻略の依頼を受けることにする。ダンジョン攻略の依頼は基本、討伐と採取の2つで達成になる。初めてのダンジョン攻略なので比較的簡単な『王都の地下迷宮』にしておくことにした。

 比較的簡単と言っても並みの冒険者でも苦労するほどの難易度の依頼だ。依頼書を確認すると、7階層にいるゴーレムを討伐と10階層にあるメロウ鉱石の採取のようだ。

「うわっ!いきなりここまで潜るの?大丈夫エステル姉さん?これって結構難しいんじゃない?」

「難しいわよ。というより簡単じゃない。だからみんなで協力しないとね」

 私はそう言ってみんなと共に『王都の地下迷宮』まで歩いていく。

 王都からダンジョンまでは近い。歩いて30分くらいの距離だ。

 道中は特に問題なく進み、あっという間にダンジョンの入り口に到着する。ダンジョンの前には冒険者が大勢いるが、私たちが入る時に特に止められることもなかった。

 入り口に入る前に注意事項を話しておくことにする。一応、私は何回かダンジョン攻略はしているからね。

「集まって。今からダンジョン攻略の注意事項を話しておくから。ちゃんと聞いてね?」

「りょ。あたしマジで聞くからね。ふざけないから安心して!」

「なんか先生みたいだねエステルちゃん。格好いい!」

「ボクすごく憧れます!」

 うん。素直でよろしい。というか男の娘に憧れられるとかちょっと複雑だけど……まぁいっか。まずはダンジョン内での行動について説明していく。

「ダンジョンを歩くとき一番重要なことはなんだと思う?キルマリア。」

「へ?えーっと……罠の発見じゃないの?」

「んー惜しいかな。正解は『魔物との遭遇を避けること』だよ。どんなに強い冒険者でもそれが一番重要だから。戦闘になればどうしても隊列も崩れるし、周りが見えなくなるからね。じゃあもし魔物に囲まれたらまずどうする?リーゼ」

「えっとね。首をへし折る!叩き潰す!ボコボコにする!」

「あはは……それはリーゼしかできないじゃない。どうしたらいいと思うルシル?」

「えっと……退路の確保ですか?もしくは逃げ道を作るために足止めをする、ですかね?」

「うん。正解。」

 こうして私の初攻略ダンジョン指南は続く。でも3人はちゃんと私の話を聞いてくれている。だからきっと大丈夫。そう信じて私はさらに続ける。

「それじゃあ次は罠に関して話すわね。ダンジョンには様々な種類の罠があるけど、基本的に踏んだら発動するものがほとんどよ。だからよく見ておかないとダメよ。そしてトラップを発動させないためには『足元に注意すること』これが最重要ポイントよ」

「でも、罠はエステル姉さんが解除してくれるんじゃないの?」

「基本的にはそうだけれど、中には私が知らないような罠もあるかもしれない。そういう時は絶対に単独行動は禁止。必ず誰かと一緒に行動すること。」

 私の言葉に3人ともしっかりと返事を返してくれた。やっぱりこの子たちは優秀だなぁ……。なんだかこういう雰囲気もいいなって思ってしまう。私は少し嬉しく思いながらさらに言葉を続ける。

「あとはマッピングね。これは慣れるまで大変かもしれないけど、地図を作ることによって次の探索が楽になるから。」

「地図を書くの?わざわざ?」

「ダンジョンは基本1日では踏破できないの。だからマッピングも重要なのよ。これもしっかり覚えておいてね。」

「はい。わかりましたエステルさん」

「あとは宝箱や扉の開錠ね。基本的に鍵開けスキルがある人が担当するわね。中にはとんでもない罠を仕掛けてくるものもあるらしいから慎重に行うこと。それと鍵開けに失敗した場合は即座に撤退することも頭に入れておくように。」

 こうして一通りの説明を終えるとみんなが私に言ってくる。

「すごいじゃんエステル姉さん!それ全部1人でできるんでしょ!?マジ半端ないよ!」

「さすがエステルちゃん!」

「ボクたちも頑張りますね!」

 3人の反応を見て、私は満足気に微笑む。こうして私たちはダンジョンへと入っていく。初めてのダンジョン攻略。しかもパーティーで挑むのは初めてだ。

 緊張していないと言えば嘘になるが、それ以上にワクワクしていた。だから私は3人に言うのだ。

「さぁ行きましょう。私たちのダンジョン攻略の始まりよ!」

「「「おー!」」」

 こうして初めてのダンジョン攻略が始まるのだった。

しおり