235 ぽぽちゃんはお兄ちゃん
おめ目くしくししながら、ぽぽちゃんがおっきしたみたいです。そして、なにかすごいこと言いました。
『ん?どうしただか?ココロちゃんはどうしただ?』
起きて早々、泣いてるココロに気づいたぽぽちゃんは、そう言いながら、ひょいっと泣いてるココロを抱っこして、背中を優しくポンポンしてあやしてくれます。すごく自然です。やっぱりお兄ちゃんだからかな?
『ココロちゃん?どうしただか~?さっきのドワーフさんの話しに関係あるだか?』
みゃ~ん『ぽぽちゃ~ん、うにゃ~ん』
ぽぽちゃんはココロの背中ポンポンしながら『よしよし』ってしてくれてます。やっぱり優しいです。でも、ココロは泣き続けてます。
ココロが泣いてて話が出来ないと思ったのか今度はこっちを向いて
『何があっただ?』
と聞いてくれました。それにアイナ様が答えてくれます。
『実は…』
ココロがアイナ様たちと聖域に来たこと、ここに来たことでココロの病気が分かったこと、病気を治すためにサーヤと契約したこと、その為この聖域からしばらく出られないこと。アイナ様たちの村で仲良くしてくれていた人達と挨拶も出来ないまま突然別れなくてはいけなくなってしまったこと。そのことをたった今自覚してしまったことを説明しました。
ぽぽちゃんはウンウンって聞いてくれます。
『そっかぁ。それは辛いだなぁ。よしよし』
みゃ~ん『うにゃ~ん』
ココロはまだ泣いてます。
「こころ~」
『泣かないで~』
ぴゅいきゅい『『ココロ~』』
サーヤもハクたちも泣きそうです。
『サーヤちゃん、ココロちゃん、みんなも元気出すだよ。案外、すぐ会えるかもしれないだよ?だから泣かないでなんだな?』
「ふえ?」
みゃ~『みゃ?ほんとにゃ?』
『多分だけどもなぁ?』
どういうこと?ココロと首を傾げます。すると、ぽぽちゃんが
『アイナ様お聞きしていいだか?』
『はい。もちろんですわ。なんでしょうか?』にこ
ココロをあやしながら、アイナ様に質問していいか確認するぽぽちゃんに、にこにこして許可をするアイナ様。なんか、ほっこり。
『アイナ様の村にいるということなら、そのドワーフさんたちは、おそらくドワーフ族の長の一族のことでないだか?』
「おしゃ?」
ドワーフぞくのおさ?すごいの?
『サーヤちゃん、長っていうのはその一族の一番偉い人にゃね。フェンリルの長はギン様で、ドラゴンの長はアルコン様にゃよ?』
そうなの?
「しゅご~」
『そうだよ~お父さんすごいんだよ~♪』ぶんぶん
『ハク…』
ハクがギン様が褒められたのが嬉しくてしっぽブンブン♪ギン様、照れちゃダメだよ。くふふ。
ぴゅいきゅい『『おとうしゃん、ほんと?』』こてん
『…本当だ。なぜ、疑うのだ?』がくっ
モモ、スイ、そこはすごいって言ってあげよう?なんとなく、気持ちはわかるけど…
『ちなみにケット・シーの長はニャーニャですわね』
「しょうなにょ?ニャーニャにゃん、しゅごー」ぱちぱちぱち
すごいね~
『やっそんにゃ、やめてにゃ、照れるにゃ~』
そんな照れないでも~
『ふふっ。それでぽぽちゃん。確かに親方はドワーフ族の長ですわ。それがどうかなさいましたか?』
ちょっと横道に逸れてしまった話をアイナ様が戻しました。そうだよね、大事なお話だもんね!
『オイラ聞いたことがあるだよ。偉いドワーフさんの中には、素晴らしい素材がある場所を覚えれば、いつでもそこに来られるように道を作れることがあるって。それで気に入った土地に移り住んだりすることもあるって聞いただよ』
すご~い!そんなことが出来るの?でもそれってぇ…
『恐らくそれはドワーフロードのことですわね。確かに親方だけでなく何人か出来ますわね。でもそれはあくまでも素晴らしい素材があってこそで…え?えええ?』
ど、どうしたの?アイナ様?
『ご主人?どうしたにゃ!?何か見えたのかにゃ!?』
いきなり狼狽えだしたアイナ様を見て自分も慌てるニャーニャにゃん。それに対して、
ウンウン。分かるだよ~
って、頷くぽぽちゃん。何があるのかな?
『ど、どういうことですの!?ありえませんわ!こんなこと!だって、鉱山を苦労して掘り進み、ようやく見つけることが出来るようなものが、なぜこんな地表近く!?いえ、それどころか落ちてる小石さえ…』
な、なに?黙っちゃってどうしたの!?
『ミ、ミスリル……』がくうっ
あっくず折れちゃった…
「あ、あいなしゃま?」
『大丈夫~?』
ハクとアイナ様の元へ行きます
『ミ、ミスリルにゃ?ご主人、それは本当にゃ?』ふるふる
みすりる?なぁにそれ?なんでニャーニャにゃん震えてるの?
『そうだぁ。これも聞いた話なんだども、昔ここには、なんといくつもの高く険しい山が沢山あったらしいんだなぁ。信じられないだどもなぁ。今は真っ平らだもんな?アハハ』
ぽぽちゃんはおとぎ話だけどな?って笑ってます。だけどね?
『そ、そうだな』
ぴゅいきゅい『『おとうしゃん…』』じとー
「あはは」
なんか、原因知ってるかも?
『ん?どうしただか?』
変な汗をかきだしたアルコン様と、ジト目の双子に、ぽぽちゃんか不思議そうにしてます。
〖なんでもないわよぉ。続けて(ぷっ)〗
ジーニ様、もう笑ってるね?
『そうだか?そんでな、その山は質のいい鉱石や、ミスリルとか貴重な鉱石がたくさん採掘出来る山だったらしいんだな。ところがある時、沢山あったはずの山が全部吹っ飛んだらしいんだな~。不思議なこともあるもんだなぁ?』
みんなの態度を不思議がりながらも、ぽぽちゃんがお話してくれます。
『そ、そうだな』ダラダラ
ぴゅいきゅい『『おとうしゃん』』じとーっ
そのお話、やっぱり知ってるなぁ~
〖·····っっ〗
もう、ジーニ様なんか声も出さずにお腹抱えて笑ってるし?あっ、みんなも肩が震えてる?
『そんでな、消えてしまった山ごと鉱石がなくなってしまったと思ったのか、多くの者がこの地を忘れ、去っていったども、実は砕け散ってこの地に振り積もってるだけって言うんだな。だから見る人から見たらここは宝の山なんだよ。しかも手付かずの、採掘いらずの宝の山なんだな』
しーん·····
最近多いですね。みんなで声も出なくなるの。
〖·····っっ〗ひーっ
『『『『『·····っ』』』』』ふるふる
一部は笑いを必死に堪えてるだけみたいだけど。みんな大丈夫?
『な、なんてことですの?地の精霊王である私がまるで気づきませんでしたわ。まさかそんなことが……聖域の輝きに目が行き過ぎてましたわ』
アイナ様、大丈夫?顔色悪いよ?
『精霊眼を閉じていたのが仇になったにゃね。あまりの眩しさにいつも以上に閉じてたもんにゃ』
『ええ。ぽぽちゃんに言われて通常モードに戻しましたら…これはドワーフたち、全員移住しかねないですわ…』ダラダラ…
アイナ様、大丈夫?尋常じゃない汗が地面に…
『通常モードかにゃ、それじゃあ全部解放したらどうなるにゃ?』
『…怖くて出来ませんわ』ぶるぶる
そ、そんななんだ?アイナ様、すっごい震えてるよ
〖ぷふっ••• あははははっ!もうダメ、く、苦しい~〗ひーっ
あははははっと笑いが止まらなくなってしまったジーニ様。そうだよね~
『な、なんだ?オイラ間違ってただか?でも、ここいら一帯どこさ掘ってもいいもんが見つかるだよ?』
ぽぽちゃんがおろおろしてます。でもね、違うんだよ、ジーニ様が笑ってるのはね?
〖は、はあ、苦しい。ぷふっ。違うのよ、ぽぽ。あなたの言ってることは全部本当よ。問題なのはね?その破壊した張本人と、その時に立ち会った者がここに揃っているってこと!あはは〗
『え?』
ピシッと今度はぽぽちゃんが固まりました。お~い。大丈夫?
『え?えぇ?おとぎ話じゃなくて、ホントのことだか?』
信じられないと言うお顔のぽぽちゃん。分かるよぉ。
『そうよぉ。この辺り一帯それは見事な山脈地帯だったのよぉ。それを吹き飛ばした張本人がアルコンよぉ。それで、それを抑えたのがジーニ様たち神々でぇ、その後始末を手伝わされたのが、わ・た・し♪』
うわぁ。ぽぽちゃんのお目目が点になっちゃった。
『え、ええええええええええええ?』
わかるわかる。叫びたくなるよね~うんうん。
ぴゅいきゅい『『おとうしゃん』』
『··········』ふいっ
知らんぷりのアルコン様。双子のジト目から顔をそらせてます。
ぴゅいきゅい『『おとうしゃん、だめだめ』』
『ぐはっ』ぐしゃ
あっ今度はアルコン様がくず折れました。
『ちなみに双子はアルコンの子供たちよぉ』
結葉様、地味に爆弾追加。
『へ?え、エンシェントドラゴンの御子様だか?』ぱちぱち
ぽぽちゃん、お目目ぱちぱちしてます。
ぴゅいきゅい『『おとうしゃん、かっこいいけど、かっこわりゅいの。だめだめ~』』
『ぐふっ』ぐしゃっ
あ、とどめ…
『そ、そうなんだな。もう、何があってもこれ以上驚くことはない気がするんだな…』
それは甘いと思うなぁ
〖それで、その時に結葉が気まぐれで蒔いた種から生まれたのが、さっきあなたが助けてくれた水の精霊樹と、青葉達よ♪〗
うわぁ結葉様もジーニ様も楽しそう~
『··········』ぽかーん
ありゃりゃ。やっぱり驚いちゃった。そうだよね~うんうん。
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