バナー画像 お気に入り登録 応援する

文字の大きさ

147章 一人に戻る

 すごろくは30分ほどで終了した。

 1位になったのは、シオリである。最初は躓いたものの、その後は安定した戦いを見せた。みんなをどんどん追い抜き、圧倒的な大差でゴールインした。

 シオリの進み方を見ていると、すごろくの神様がついているのかなと思った。それくらい、サイコロの出目、?マスの指示に恵まれていた。

 1位になったのが嬉しかったのか、人目をはばからずに喜んでいた。気配りができる女性も、喜ぶときは子供みたいだった。

 2位になったのは、ココアである。安定した戦いを見せ、2位でフィニッシュした。

 ココアは?マスにて、頭を撫でられるという指示を3回も引いた。アカネが頭をなでなでするたびに、子供みたいに喜んでいた。

 2位でゴールしたからか、喜びは小さかった。すごろくにおいては、1位でゴールすることが、喜びにつながるといえそうだ。

 ココアが無事にすごろくを終えたことに対して、アカネは安堵していた。トラウマが蘇ったら、どうしようと思っていた。

 3位になったのは、アカネである。1位になりたかったので、納得のいかない結果となった。次にプレイするときは、絶対に1位でゴールしたい。

 4位になったのは、ミナである。サイコロの出目が悪く、低空飛行に終わった。

 ?マスの内容もよくなかった。こちらがよければ、2位か3位になれたかもしれない。

 4位になったからか、どんよりとした顔をしている。負けというのは、人を笑顔にしないのかもしれない。

 最下位になったのは、ユメカとなった。2ターン目からは、1~3しか出なかったこともあり、みんなに後れを取ってしまった。すごろくはサイコロの出目で決まるので、これが悪かったら、どうしようもなくなる。

 ?マスの指示も戻るものが多かった。そのこともあって、他との差がどんどん開いていった。

 ユメカは気に入らなかったのか、

「もう一度やろう」

 といった。最下位で終わることは、彼女のプライドが許さないようだ。

「ごめん、そろそろ帰らないといけないんだ」

 シオリは帰宅の準備をする。 

「子育てがあるから、もう一回は難しいよ」

 ミナも帰宅の準備をしている。こちらも、家に帰るつもりのようだ。

「ユメカ、今日のところはあきらめよう」

 ココアがそのように伝えると、

「わかった。次は負けないからね」

 と、ユメカはいった。本日の負けをバネにして、次は頑張ってもらいたいところ。

「アカネさん、今日はありがとうございました」

 シオリは深く頭を下げたのち、アカネの家を出ていった。

「私も失礼します」

 ミナは慌てたように、家からいなくなった。いろいろと話をしたことで、予定をオーバーした
ものと思われる。

「ユメカ、私たちも帰ろう」

 ココアがそのように促すと、ユメカは身体を起こした。

「アカネさん、失礼します」

 四人がいなくなると、いつもの静かな部屋に戻る。そのことに対して、安心感、孤独感の両方
を感じることとなった。



しおり