第19話 エルフな勇者さまは、鋼の乗り物を見て驚きます! (12)
「後は一樹のお父様とお母様が、早く喜ぶように。孫が早くできて産まれるといいね。一樹」と。
エルが嬉しそうに告げてきたから。
「うん」と頷く僕なのだと、告げたところで。皆は、『あれ?』と、思った。違和感が生じたと思うに違いないけれど。
僕がアパートを借りて一人暮らしをしている場所は地元でね。アパートは山の団地内にあるのだけれど。僕の両親は、山の麓の平地に住んで居るのだ。
だから徒歩で歩いても十分もかからない場所。近くに住んでいてね。
「一樹?」
「ん? 何、エル?」
「一樹には両親がいないの?」と。
こんな感じで、エルに僕は問われたのだよ。Nコロをエンジン始動! 走行! 走らせ始めて直ぐにね。
「いるよ。この近所に住んで居る。いるけれど。それがどうしたの、エル?」と。
僕は少しばかり困惑をしながら言葉を返すと。
「あ、あのね。一樹?」
「うん、どうしたの、エル?」
「できたら、今から、一樹の両親に会って、ちゃんと妻だと挨拶がしたい。したいのだけれど。ダメかな、一樹?」と。
エルが恐る恐る、小声で問いかけてきたから僕は直ぐに、自身の脳裏で、(結婚式の件もあるし。遅かれ早かれ。父さんや母さん……。親戚のおじさんやおばさん達にも挨拶……。エルを紹介しないといけないだろうから。今から実家にいってから。終わって買い物。ショッピングでもいいかな?)と、思うと。