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185 泣かないで・・・

さて、みんなクリーンを上手に出来ました。もふもふ~♪
だけど、おいちゃんと、フゥとクゥにはもうひと仕事あるんだって。

〖魔力操作のいい練習になると思うのよ〗

ジーニ様が言う練習。それは、魔力操作による食器のお方付け。割らないように、いかに細心の注意を払って食器棚にしまうかなんだって。特に気を付けなきゃいけないのは、最初と最後なんだって。特に最後は気を抜いたりすると、惨劇が起こるんだって。なんだろね?

〖それじゃあ、フゥからいきましょうか〗
ジーニ様がフゥににっこり笑いかけながら言ったけど
『は、はい』ピシッ
わあ~フゥ、ガチガチっ大丈夫?

〖フゥは風の精霊だから風の魔法を使ってやってみましょう。まず一枚からね〗
『は、はい』すーはーっ
フゥ、がんばれーっ

『では、いきます。んん~っ』カチャっカチャっ
フゥが集中して重ねてあるお皿の一番上の一枚を風で浮かせ始めました。ゆっくりゆっくり空中をお皿が移動していきます。

〖お皿を割らないように。風をまとわせて棚まで移動させて、下ろす時に気をつけて、音を立てないように最後まで気を抜かないで…じゃないと〗

ガシャーンッ
『あっ!』
「ぴゃっ!」
割れちゃった!
〖と、言うことになるからね〗
ジーニ様がフゥの肩をぽんぽんってします。せっかくがんばったのにぃ
『す、すみません』
あ~フゥ落ち込んじゃった…

〖最後が一番大切よ。あと少しと気を抜けば、また今みたいになるわよ〗
そう言ってパチンって指を鳴らすと割れたお皿がゴミ箱へ。すご~い!
〖さあ、失敗するとお皿がどんどんなくなるわよ〗
『は、はい』

ちびっこたちみんなで、こっそりゴミ箱を覗くとびっくりです!お皿が元通りになってます!みんなでジーニ様のお顔見たら、内緒よってウインクされました!
ジーニ様すご~い!!みんなでキラキラおめめで見つめちゃいます。せっかくジーニ様が元通りにしてくれたんだもん!あとでお皿棚に入れてあげきゃね!

『クゥ、ゲンも自分なりにイメージしておいてね』
『は、はい』カチーンっ
『おう』
クゥ、がちがち…おいちゃんは、そうでもないね。

〖フゥ、もう一回よ。練習あるのみ。今度は二枚ね〗
『は、はい』す~は~ぁ
フゥ、大丈夫!頑張って~

〖カチャカチャならないようにね〗
『はい。んん~っ』
ふわっとお皿が持ち上がります。どきどき、おてて組んでお祈りです。んん~っがんばれ~がんばれ~!

ぴゅい『サーヤの~』
きゅい『おかおが~』
『がんばってるね~』
『うん』
『がんばってる~』
『でもぉ』
『フゥも』
『がんばれ~』
ちびっこ同盟も応援です。

『んん~っ』
「んん~っ」
あとちょっと~がんばって~!ぐぐぐっ!

カタッ・・・すとん。
やった~!成功?成功だよね?

『はぁ~』
フゥ、お疲れ様~。

〖うん。まあまあね。これを楽々できるようにならないとね〗
ジーニ様がそう言うと、同じ形の残りのお皿が全部、フゥががんばって置いたお皿の上にすっと音もなく重なりました。隣には一枚ずつ飛んで行き、やっぱり音もなく重なっていきます。しかも速いです。
「ふわぁ~ぁ、しゅご~」
『・・・あ、あはは』
フゥはポカーンと口開けてたけど、今はなんか悲しい声で笑ってます。

『あぁ、あれは遠いなぁ』
『お、おれも頑張らないと』ぷるぷる
おいちゃんとクゥもびっくりしてます。クゥにはプレッシャーもかかっちゃったみたいです。

〖じゃあ、次はクゥね〗
『は、はいっ』ピシッ
クゥも緊張してるぅ。ガチガチだ~
「くぅ~、がんばれ~!」
応援してるからね!
『お、おう。ありがとう』

『サーヤ~私の時には~?』
隣に戻ってきたフゥにほっぺたむにゅむにゅされながら言われちゃいました。
「うにゅ ごめひゃい」むにゅむにゅ
たしかに言うの忘れちゃったかもです。でもでもぉ

ぴゅいきゅい『『サーヤはね~』』
『すっごいお顔で応援してたよ~』
ハクたちが、サーヤが応援してたよってフゥに伝えてくれてます。でも
『そうなの?すごいお顔で?』
「うにゅ?」
フゥが不思議そうです。サーヤも不思議です。
『『うん』』
『すっごい』
『おかおが』
『がんばってた~』
お顔は頑張らないよ?頑張ったのは応援だよ?
『そ、そう。どんなお顔かしら?でも、ありがとう。サーヤ』
「えへ~♪」
フゥもクゥもおいちゃんも、ちゃんと応援してるからね!


〖さあ、クゥ。まずは昨日布団でやった転移ね。食器は、そうね、このカップにしましょう。ただ、乱暴にしたらダメよ。まるで、初めからそこにあったかのように置くの〗

『は、はい』すーはー
『行きますっ』
深呼吸してクゥが挑戦です。ひゅんっとカップが消えたと思ったらゴトって音がしました。棚を見るとカップが転がってます。割れてはないみたいです。ほっ。
でも、次の瞬間、そのカップは移動する前の場所に戻りました。音もなく、すっと
「しゅご~」
『うわぁ』
ジーニ様が戻したみたいです。クゥが呆然としてます。
〖はい。もう一度。今度は二つね〗
『は、はい』すーはーっ

「んん~っ」
んん~っクゥ、がんばれ~がんばれ~!

『なるほど。この顔ね』うんうん
ぴゅいきゅい『『うん』』
『このお顔~』
『『お鼻から何か』』
『『『ふしゅーってなってるね~』』』
なんですか?みんなして

『行けっ』
カップがまた、ひゅんって消えます。そして、棚の中、小さくことって音は鳴ったけど、カップは二つとも転んでません。
『ふぅ~』
クゥが息吐いて、くたってしてます。
「できちゃ?」
成功?成功?
〖ん~まあまあね。でも、次はこれくらいできるようにね?〗シュンっ
次の瞬間、残りのカップが綺麗に整列してました。取っ手の向きまで綺麗に揃ってます。
「ふあ~?」
『なんだそれぇ』がくぅっ
クゥが今度こそガクッとなりました。地べたは冷たいよ?次がんばれ、クゥ。お疲れ様!

〖じゃあ、次はゲンね〗
『おう』
おいちゃん、がんばれー。

〖ゲンは、転移は出来る?どんなイメージを持ってるかしら?〗
ジーニ様がおいちゃんに聞くと
『ん~?イメージか。そうだな、こうドアを開けたら次の瞬間には違うとこにいるイメージ?』カチャッ
そう言ってドアを開ける真似をすると、次の瞬間、おいちゃんは部屋の反対側にいました。

シーン……

『あ、あれ?何で俺ここに?』キョロキョロ
「ふ、ふぉ?」
お、おいちゃん、何したの?

〖ゲン、それは自分が移動してるわ…今は物を移動させるのよ〗はあっ
ジーニ様が眉間を揉みながらため息ついてます。
『あ、あれ?』カチャッ
「ふ、ふぉ?」
おいちゃん、戻ってきました。また、ドア開ける真似で…
〖・・・・・・〗ヒクッ
ああっジーニ様のお顔がっ

『ね、ねぇアルコン。転移なんてあんなに簡単だったぁ?』ヒクッ
『そんなわけないだろう』はあっ
あっ、やっぱり普通じゃないんだね。だって結葉様とアルコン様までお顔がヒクヒクしてるよ。
『ああ、間違いなく普通じゃないな』
ギン様まで・・・

『あれ?』カチャッカチャッ
おいちゃんは、構わずマイペースに続けてます。

〖ゲン…〗はあっ
ジーニ様、がんばって!
『なんかちがうね~?』
ぴゅきゅ『『うん』』
『『ジーニ様が』』
『『『がんばれになってるね』』』
でも、分かるけど~ってちびっこたちも言ってます。

〖・・・あなた自身が転移できるのは分かりたくないけど分かったわ。今は食器の番よ〗はあっ
ジーニ様、がんばって!
『お、おう。そうだよな。そこにある空間をそのまんまそこに移す感じかな?』
勘違いおいちゃんがそう言うと、今度はテーブルに重ねてあった食器がそのまま棚に移動しました。しかも音もなく、きれいに。

シーン……

『『あ、あはは』』
フゥとクゥの目が死んでます。かわいそうです。
「ふぅ、くぅ~」
『しっかり~』
ぴゅいきゅい『『だいじょいぶ~』』
『『がんばったよ~』』
『『『これからだよ~』』』
ちびっこたちと一緒に慰めます。

〖で、でも今のはたまたま棚に収まる高さだったけど、高さが合わない時はどうするの?〗ヒクヒクっ
ジーニ様のお顔がヒクヒクしてます。ジーニ様、がんばって!

『ん~したら、先に二つに分けて、そのまま移動、とか?』
テーブルに重ねてあったお皿の半分が宙に浮いて、音もなく静かに横に並べて置かれた瞬間、そのお皿は棚に入っていました。

シーン……

『『うぅぅっ』』
フゥとクゥがうずくまって泣いてます。かわいそうです。ぐすん。

『フゥ、クゥ、気を確かに』
『そうだぞ。あれはなゲンがおかしいんだ』
『そうよぉ~二人ともがんばってるわぁ』
さすがにギン様、アルコン様、結葉様が二人を慰めてます。肩を摩ったりして・・・

〖あ~、フゥ、クゥ私が悪かったわ…〗
ジーニ様もものすごく、申し訳なさそうにしてます。

『『うぅぅぅ』』
フゥとクゥ、かわいそうすぎます。泣いちゃうよね。えぐえぐ。

『え?なんだ?どうした?』

「おいちゃん、だめだめ」
ひどすぎます。えぐえぐ。
ぴゅいきゅい『『おいちゃんって~』』
『すごいんだけど~』
『『ダメダメだね~』』
『『『だめだめ~』』』
ちびっこたちもそう思うよね?

『なんだよ~ 出来てないのか?』
おいちゃん、全然分かってません。

〖そうじゃない。そうじゃないのよ・・・〗はあっ
ジーニ様の言う通りだよ。は~ぁ。全員のため息が合いました。

『『うううぅ』』
フゥ、クゥ、しっかり~っ泣かないで~。サーヤもちびっこたちもフゥとクゥに抱きつきます。えぐえぐ

もおっ!おいちゃんのせいだからね!ぷんっ

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お読みいただきありがとうございます(*^^*)

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