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第17話 男の威厳って奴?(6)

 だから僕もエルに対して、『ロ○コンパンチ』で、「わりゃ、あああっ!」、「うりゃ、あああっ!」と、荒々しく叫びながら応戦をする。己の腰とエビが仰け反るようにと、両足を床、畳にバタつかせ,暴れ、抗い。男、夫の意地で抗い続けるのだが。

 う~ん、でも、やはり、駄目だ。駄目なようなのだよ。

 だって僕がいくら抗い、抵抗を試みても、勇者の妻、エルには、僕は敵わないようなのだ。本当に情けない話しなのだが……。


 僕、僕が。夫の僕が妻に抗う度に、倍以上は頬を打たれて腫らしている状態なのだよ。

 それにさ、僕が妻、エルへと抵抗、対抗をする手段、方法は三つしかないから辛い。辛いのだ。

 まあ、最初はさ皆さんも話しの冒頭シーン、回想シーンを思い出してもらえばわかる通りだ。僕自身も男らしくないと、いうか? 大人気なく。エルの美しい金髪ロングの髪を鷲掴みにして引っ張るとか、頬を打つなどもしたけれど。

 その都度、エルの美しい髪が抜ける。抜けていくのを見るのが忍びないのと、雪のような色をした頬が薄く赤く腫れるのを見るのも忍びないから。僕は男、夫として辞めたのだ。

 だから僕はエルに対して今出来る。抗える。抵抗をする手段は、僕の力無い『ロ○コンパンチ』を、エルの胸、大きく垂れ下がっている乳房へと殴りつける。繰り出すことしかできないのと。

 僕の身体を大きく、海老がピチピチと跳ねるように仰け反らしながら。己の両足をばたつかせ抗い、暴れながら。僕に馬乗り、跨っているエルを振り落とす事しか出来ないから。

 もう、エルに抵抗を試みるだけ無駄かもしれない。

 また僕自身が、そう思えばね。悔しくて、悔しくて仕方がないから。僕の両目から涙しか出ない、出ないのだよ。

 だから僕は、悔しさの余り嗚咽しながら、こんな言葉しか漏れてこない。こないのだよ。

「うううっ、あっ、あん、ああっ、か、一樹……。あん、あっ、あ、ああ……。愛している。愛しているわ。一樹……」

 ん? あれ?

 な、何? これは? これは何だ……ではないよね?

 エ、エルが! 僕のエルの口から、荒々しい吐息と嬌声が漏れ、「ハァ~。あぁ~。あん~」と、吐かれ、漏れてくる、だけでない。ないのだ!

 僕の妻、エルは、何故か? 荒々しい息遣いと優艶、艶やかな、吐息と嬌声を混ぜ合わせ漏らし、吐きながら。夫の僕へとしな垂れかかり。そのまま自身の唇を僕の唇の重ね貪り。堪能を始めだしたようだから。どうやら妻は、エルは、夫の僕へと、何かがきっかけ、きっかけとなって、ではないよね。大騒ぎをして申し訳ない。

 まあ、要するに僕の、己の腰を盛んに動かした海老反りと腰の動きに対して反応。発情期を迎えたようなのだと、いうことは?

 もしかして? 土壇場で、僕の勝利! それも大勝利と言う奴で終わる。終わりそうな予感がする。

 そう、エルをもう二度と僕に、夫に逆らえない。死にたい。自害をしたいなどと、くだらないことを思わない。思えないぐらい足腰を立てないぐらい。エルを傀儡、堕とす。昇天させてやるのだと。鼻息を荒くする僕なのだ。

 だから僕は、今後もエルに対して夫の威厳と言う奴を保てそうだから。

『よかった! よかった!』と、安堵しながら思うのだった。


 ◇◇◇◇◇

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