プロローグ
「ミス:リアス、ここでラストですか?」
「ああ」
青年とその上司の女性は仕事で廃墟と化した建物に入る。
「こいつを壊せば……最後になるのか? にわかには信じられん話だが」
青年は手のひらに乗るほど、小さな機械を親指と人差し指で挟む。鉄でできていそうな見かけだが、プラスチックで軽く力を入れるだけで砕けた。
人類が数十年壊そうと必死に探していたものは簡単に消え失せた。
「案外もろくできているものだ」
青年と共にいた女性は聞こえるか聞こえないかくらいでつぶやく。
機械を使って反応がないことを確認すると、異常は見られなかった。
そうであればここにもう用はないと、帰還するのだった。
「平和な世界になった」
「かつて人間の数は機械より少なかったことは、今では誰も知らないことです」