続き
ギイさんはベンチから立ち上がると三人の子供たちに言う
(さてと、休憩もしたしそろそろおじさんは町でも散歩してくるね
みんな、またね)
と手をふって行こうとした
ミユウくんは(もう行くの、じゃーね、おじさん、あそーだ、これ、あげる)
と言ってポケットからイチゴの飴玉をギイさんに渡した
ギイさんは暖かい気持ちになりながら(ありがとう、ミユウくん、またね)
と言って町に散歩をしに出かけた
後ろを振り向いて見るとミユウくんが笑顔でバイバイしてくれていた
ギイさんも手をふってバイバイしてから道路の右側の歩道を歩いた
歩いてから10分もすぎると美味しい匂いがする喫茶店がある
そのまま歩いて行くと商店街があった
商店街の中を歩いているとギイさんは町並みを見てフッと思った
(なんかこうやって散歩することってあんまりなかったような気がするな
前は仕事が忙しくて毎日くたくただったな、こーゆーのって自由で本当に気持ちがいーや、今日はあの子供にも出会ったし、なんかついてるいー日だな)
とつくづく今日のこの日に感謝をした
ギイさんは普段なら感じることもなかったであろう一人の自由な贅沢を満喫することができたことに驚いた
最近はいつも緊張してとにかく不安な日々の生活だった
しかし、自分の事を大切にしてくれるものがいるという実感が今のギイさんを支えていた
ギイさんは思う
(多分、友達や好きなラーメンやあんな可愛い子供たちに出会わないで一人で抱えていたら、おそらく途中で投げ出してすべてをあきらめていたんだろうな
もしかしたらたくさんある幸せの一つに自分が誰と付き合うのかを考えなくちゃあならないのかも知れないな)
そんな事を考えていると花屋さんがあった
置いてあるいろいろな花を見ていると優しい気持ちになれた
ギイさんは少し、花屋さんを見てみる事にした
花屋さんに入ると店員さんのキリンさんが挨拶をする
(あっ、今日は、お客様、どんな花を探してるんですか)
ギイさんは困った顔をしながら言う
(いや、すみません、ちょと花が綺麗だったので見ても良いですか)
キリンの店員さんは笑顔になりながらいう
(はい、どうぞ、気に入ったものがあったら買ってくださいね)
と言って笑って他の仕事をしていた
ギイさんは思った
(もしも僕がお店を出したらこのお店で花を買いたいな)
店には素敵な花がたくさんあった