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「偶然かもしれんが。お前の色だな」
 ライラの持つ、髪色。星の『リゲル』はこんな色をしているというのか。
 勿論、星の色など肉眼では見えない。けれど表現するに、青と白と言われてしまえば自身の髪色としか思えなかった。リゲルとてそういうつもりで言ってくれたのだろう。
 やさしく言われて、ほわっと胸の内があたたかくなった。
 彼を示す名が自分の色をしていること。まるで寄り添うことを赦されて祝福されているようだと思った。
 その気持ちのままにもう一度身を寄せる。つめたい空気の中、リゲルの体温はあたたかい。
「あのね、リゲルのあの詩」
 目を閉じながら、ライラは言う。
「今はまだ構想中で拙いだろうけど。聴いてくれる?」
「ああ、聴かせてくれ」
 頭の中にはメロディがあった。それを小さな声で、歌っていく。
 これはまだ自己流。自分勝手に考えたものに過ぎない。
 でもここからうつくしい、本物の歌に仕上げるのだ。
 リゲルの作った、詩。
 いつか一等星のように眩しい彼と、同じくらいに輝かせたい。
 そして歌が完成したそのときには、自分も名前の由来。やさしい音を紡ぎ出す琴(ライラ)のようにその歌を奏でたい。
 その音はいつか、彼の生み出した詩と混ざり合って、星が光るような素敵なうたになることだろう。

 (終)

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