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儀式2

 儀式には準備が必要だという。

 それまではあの城の一室で暮らすことになるらしい。
 早々に私の目の前から去ってしまった国主様は何も説明してはくれなかった。

 後に残された文官から聞いた話によると儀式には道具がいくつか必要だそうだ。


 そしてその中の王笏か剣のいずれかに私の魔法をかけて新たなる王に渡す。
 結局どうやって王を選ぶのかはわからずじまいだった。

 まずは、ものに魔法をかけることを安定してできる様になりたい。

 部屋に戻ってきてからメアリとシェアリにそう言うと、二人は顔を見合わせた後、「それでしたら、アクセサリーに加護を付与するのはいかがでしょうか?」と言われた。

 私は紅茶にでも元気になりますようにと魔法をかければいいのでは? と思っていたのでその申し出は意外だったけれど、食べ物は失敗した時に健康を害する可能性が高いので避けるのは当たり前だと気が付く。

「でも、手ごろなアクセサリーが」
「勿論、こちらで手配いたしますので大丈夫ですわ」

 メアリさんが言う。

 アクセサリはすぐに準備された。
 それに向かって祈りを捧げる。

 最初にマクスウェルに魔法を使って以降、だんだんと魔法というものの使い方が分かってきたかもしれない。

 故郷で「魔法を使うってどういう感覚?」と聞いてみたことがある。
 私にはかなわなかった精霊との共同作業としての魔法。

 みんな困ったみたいに「使ってみればわかるよ」と言っていた。
 結局大人になっても私には使えず、ずっと分からなかった感覚。

 それがいま少しずつ分かる様になってきて嬉しい。
 だから、もっと、もっと魔法を使ってみたい。


「たのもー!!」

 急に部屋の扉がノックもされずに開けられる。

 魔法に集中していたためテーブルの上に置かれていたアクセサリーを見ていた顔を上げるとそこには一人の青年がいた。

 メアリとシェアリが即座に私をかばうみたいにその青年と私の間に割って入った。

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