第4話 アイカの不満(1)
「チッ」(くそ~、面白くはない。面白くは……。歯痒い。歯痒いな、あの二人は……)と。
何処からともなく舌打ちが聞こえる。
それも? 女性の声音だと思われる? が、同時に?
「……ん? どうしたアイカ? 何か不満か?」
と、男の声音──。
そう、大人の男、青年の声音も直ぐに、というか?
若い女性の声音と変わらぬぐらい。重なるように聞こえてきたのだ。
「ん? ああ、べ、別に何でもない。何でもない……」
「ふん、そうか? そうなのか……? まあ、それなら俺は別に構わん。構わないよ……」、(うっ、うん、チュ、チュ、チュ……)
〈ベチャ、ベチャ〉と。
若い男女の軽い会話、問いかけ、訊ね事の声音が終われば、急に優艶な声、吐息とともに卑猥な声音と微かな音迄漏れ聞こえ始める。
そう始めだすのだ。
と、なれば?
何? 何だ? と、驚愕! 驚嘆を漏らしたくなる衝動に駆られる。
だから直ぐに、『何処だ?』
『何処だ?』
『何処なのだ?』
『何処にいるのだ?』と。
声の主。官能、卑猥、吐息を漏らす若い男女二人──。
その優艶な姿と様子が何処にあるのか? 製の性、と言う奴がそそられ、募り、湧き立ち発情──。
興味津々になるから甘くて淡く、卑猥な声音と吐息を漏らす若い男女を探索、模索してみることにする。
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