第10話 目覚めてみると? (6)
「スゥーハァー!」、
「スゥーハァー!」と。
一息入れて!
最後に更に深呼吸──。
「ハァ~、スゥ~」とね。
よ~し! これで、私の方は取り敢えず深呼吸をした。出来たから。己の気が落ち着き、多少は安らぎ緩み、自身の身に起きた。大変に疚しく、悲惨、邪な出来事……。
それも? 女性としての身の上で、良くある。ありがちな、というか?
魔王討伐に必ずといって良い程……。
そう、それこそ? 吟遊詩人達が歌う。奏でる。古の物語から英雄達についてまわる。魔王討伐の影の闇に関する隠し事。隠し事なのだが。
魔王を討伐する英雄若しくは? 勇者が魔王から見て異性ならば、己が勝利を得れば、別に問題はない。ないのだが。仮に負ける。
そう、私のように魔王との勝負に敗退、負けるような事があれば。魔王に束縛されて凌辱、生き恥を晒しながら女の身として生涯生きねばならぬ。
それも? 魔王の子を身籠り。何人も出産──。更に魔族、魔族の国を強化、強靭な物へとするための手下、道具と化して、生涯を恥じながら。細々と暮らさなければいけない生涯、生活を余技なくされる立場に落ちたようなのだ。
私、勇者エルはね。
だって? 今の私の容姿は、何も着衣をしていない産まれたままの容姿……。
そう、裸体と言う奴になっている状態なのだよ。