最終回
月刊『はやくちことば』編集長が語る「トーホグ弁の魅力」
"はくぶつき"-生きている言語"
トホホは、日本の北の島、北海道の千島列島で話されている日本語の方言です。ハクブツキは、現在は消滅しているハクブツキの方言を祖先が話していた人々の通称である。
この方言は、何世代にもわたって日本に移住した人々が、中国や日本で話されていた日本語の方言をはじめ、さまざまな方言を持ち込んで生まれたものです。
伯母崎方言は、人々が日常的に使い続けていることから「生きた言葉」と呼ばれています。
ハクブツキ方言では、「山が緑」という意味の「しりつ」を「し・れ・そ」と発音します。
また、ハクブツキの観光業界では、ハクブツキの方言を学ぶための言語としても使われています。
学校や職場では、日常的に国語の授業で「ハクブツギ方言」が使われています。
「ハクブツギ方言」とは、「ちりがね」と発音する地域の方言で、
“ちりがね”という言葉は、古くから中国や日本に移住してきた人々を意味する言葉です。
それと同様に、ハクブツギ方言と「ちりがね」と発音する方言では「ちりがね」と読む傾向があり、地域によって異なる音の表現、発音の難度などが存在します。
「ハクブツギ方言」と「ちりがね」は、共通しているのは“独特の音程”で、同じ単語の複数形であることです。
一般的には、「せがね」、「ふがね」( “ちりがね”に「わ」をつけて表わす)、「ぢがね」( “ちりがね”に「よー」をつけて表わす)というふたりを使うのが多いでしょう。「わ」のつもりが「ぢ」になってしまってはいけません(笑)。
例えば、「わ」のほうが好ましいだろうことの決まりを表わす「わ」の代わりに「す」をつけて「わ」の字を作ってしまうのは、それだけでも大変な労力を必要とします。「わ」にすれば、そのまま「よー」や「と」のように使うことができます。
ハクブツギ方言の方言の例として挙げると、「わ」だけが「め」に相当し、「き」や「つ」が「つ」に相当するほど、「わ」と「め」はほとんど別物です。なので、「わ」や「め」を使い分けるためには、「わ」の字を使う「そ」のような「つ」を使う「つ」に当たらない「そ」を「つ」とはみなさないといけません。
「そ」や「つ」が「た」に相当する「ど」は、何の字でも構いませんが、「た」と「ず」、そして「や」を「む」と書いてしまうと、「わ」と「つ」を逆につく「ず」になります。この逆は、「い」と書けるくらいということです。
つまり、「わ」と「つ」の「ひ」の字を使うべきだとすれば、「わ」と「ふ」の「ふ」の字を使いましょう。それ以外の字はここでは書きようがないので、「ろ」や「ふ」で代用します。しかしこれはあまり美しくない。何かいい文字がないかなあと考え、見つけたのが、これ。ちなみにハクブツキでは濁点を省略して読みますが、トホホはありますよね、あれは何でなんでしょうか。ともかく、これを使いましょう! さて「しりつ」ですが、これが最も難しい方言のひとつです。「市立小学校」→「しりつしょうがっこう」「いちりつこっこーじんこうこっころーこ」など、語尾の変化によって言いやすさが異なります。「し・ね・く・ん・こ」となる場合もありますが、「しねん」の後にさらに別の漢字が続く場合はこのように省略されることが多いでしょう。
次に、「れそ」について述べます。
「レソ」ではなく、「れそ」と表記します。また「れれそ」「れれしょれ」などの言い方もあるため注意が必要です。ハクブツギ方言ではこのふたつは厳密に区別され、また「れる」は、活用形として正しい使い方ですが、口語では、発音しにくいため略される場合が多いのです。そのため混同しやすい。特に方言話者にとっては気をつけなければいけないことでしょう。
「ちから」、「せんせい」、「ごほん」、「ちんぎんけんがく」、「はんかさんだん」、「えんぴつしゃー」といった言葉の発音も注意してみてはいかがですか? ハクブツギ方言の方言の例はたくさんありますが、その中でも、ぜひとも皆さんにも試していただくのをおすすめしたいのがこれです。方言の面白さの醍醐味は、実際に方言を話したり書いたりすることの楽しさには限りないこと。方言で文章を書き、それを共通語訳することでより深くその魅力を感じ取ってもらえるかもしれません。それだけでなく、自分以外の方言の人と話せるというのも、なかなか体験できることではないですよね? このエッセイではさまざまな言語で書かれている方言の方言例を紹介しますので、興味があるものはどんどん挑戦していき、新たな発見をなさってくださいね! さて方言の魅力に取り憑かれてしまった人は……もちろんいますよね? 今回はちょっと変わった方々を紹介させてくださいね(笑)
■まずはお手本から―――――――! 方言を愛する人たちの中で、よくお見かけするのが「翻訳者」(※)たちです。
彼らの多くは標準語に疎い方が多く、しばしば辞書を引くことから始めています。方言愛好家の間では、「翻訳者が語ると説得力が違う」なんて言われているそうですね(笑)。
そんな彼らは、標準語をどう発音しているのかを解説しています。「方言を話すとなぜ訛りが強い?」という疑問に対するひとつの答えになっていると言えるのではないでしょうか。
方言愛好者の方は一度参考にされては如何でしょう。
さて、ここまで来たらあと少しだけ、あなたに教えてほしいことがあるんです。それは、方言といえども地域ごとに違いがあるということ。方言の違いに、方言語話者はあまり意識しないところがあるのではと思います。例えば関西の方言には大きく分けて四種類のものがあると言われますが……実はこれ以外にも、まだ存在する可能性はあるのではと思ってしまいます。そこで皆さんには是非、自分の出身地の方言のアクセントを、方言愛好家の間で語り継いでいただきたいなと思っているのです。それがきっと、文化の保存につながると信じていますので……。…………さて、次回からはいつもの感じに戻ります。
(※)翻訳家:英語をはじめとした外国語の本などを日本語訳にする人のこと 方言はその地域でしか通じませんし、地域によって大きく差があり面白いのですが、しかし同じ日本語を基盤にしているのもまた事実です。
そこで私は思います。日本は世界で最も素晴らしい国だと! なぜなら、日本人の多くが様々な国の人々の話し言葉を聞いて理解できるのだから。もしこれが他の国のことだとしたら、私たちは彼らの言葉を理解できず、私たちの言葉も、彼らを正しく伝えることはできません。
さてここで残念なお知らせがあります。この連載は今回で終了します。なぜかといえば、「もっとみんないろんな国の人と話したほうが楽しい!」と思ったためです。私の住むトーホク地方は、世界でも最も多様性に富んだ地域であり、そして私が出会った人たちはみな、とても親切で好奇心旺盛な人でした。でも、だからこそ多くの人に、世界には色んな言葉があって、色んな国があります。そのことを知ってほしかった。まあこれは、単なるわがままでもあるんですけど。
なので今回の最終回である今回までに登場した言語をまとめておきますね。
・日本語/日本語に近い言葉。「はやくちことば」「はやちつこ」など → 共通語の基になったという説もある。
・アイヌ語/北方系の言葉だが今はもう使われず絶滅寸前の言語らしい →アイヌ語の話せる方は本当に凄いです!ぜひ頑張って生き残ってほしい。
※以下は省略しました、他にもまだまだありますのでご興味のあるかたは次のページへどうぞ。
・琉球語(鹿児島県の一部で使われているらしい)→私はまだ喋れない。
※ちなみに琉球語の方言が、現在の標準語のベースになってる説が有力らしいです(出典は失念)。
「うちなーぐち」について知りたければこちらもどうぞ https://www.nhk.or.jp/bunkensha-blogging/39050755
なお、月刊『はやくちことば』今月号でも特集を組んでおります。https://www2.nicovideo.jp/watch/154974892#myuiAxFvNdlU 最後にひとつだけ謝辞を述べさせてください。
このコラムを書くにあたって取材に協力いただいたのは「沖縄県立近代博物館館長」(元沖縄県教育委員会教育長、現県立前衛芸術大学芸術学部教授)、「沖縄公文書館資料管理者」(前沖縄県史編さん委員)をはじめたくさんの県民の方々でした。また、「琉球大学歴史言語学研究室助手」(現在は国立科学博物館勤務)、及び言語学者である沖永俊樹氏も貴重なアドバイスを下さりました。皆様のおかげでここまで来られたと言っても過言ではありません。
重ねて御礼申し上げますとともに、これまでの応援ありがとうございました!
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