「ここか……」
時は十二月二十四日の午後、所は冬のビル風が
彼女の名前はノエル。
「
そう呟き、ノエルはゆっくりとした足取りでビルに近づいてエントランスへと足を踏み入れた。
受付カウンターを無視して
「おいキミ! まずは受付でアポイントメントを――」
パン!
その台詞を最後まで言い終えることなく、警備員はノエルが胸元から取り出した
訪問客で
目指すは最上階、CEO室だ。
しかし、エレベーターは四十四階で止まってしまった。警備室から強制停止させられたのだろう。
ノエルはエレベーターの
「ホールドアップ!」
そっと様子をうかがえば、二人組の警備員がこちらに銃を向けていた。
ノエルは背中の袋に手を入れると、黒くて短い
背中を向け、耳を
ノエルは身をかがめてエレベーターを飛び出し、銃で二人を無力化する。
ただし、二人の身体に外傷はない。先程使用したのは非
「さて、ここからは骨が折れそうね」
そう呟き、ノエルは背中の袋の中身を装備する。アサルトライフル二丁に
最上階を目指し、ノエルは
その後も行く手に現れる警備員達を
実弾を撃ち込んで電子ロックを無効化し、そっとドアを開けると案の定銃弾が飛んでくる。
「何者だ? 何が
銃を構えながら問いかけるのはCoCooleの
「私の狙いはあなた自身」
ドアの
「わ、私を殺す気か!? クソ、クソ、クソ!」
ステファンは
銃撃が
「がっ!」
身体を
「ふぅ……」
深く息を
「ルドルフ。私。
そう告げると、CEO室の大窓の向こうに一機のヘリが現れるのだった。
◆
「パパ! パパ!」
身体を
「……うっ、ここは?」
「パパ!」
目を開ければ、幼い
「クリス? ここは……私の家か?」
仕事にかまけ、ほとんど帰ったことのない家だったが見覚えはあった。
「一体なにが……」
そう呟きながら身体を起こそうとするが、身動きがとれない。それもそのはず、ステファンは頭だけを出した状態で大きな袋に入れられていた。袋にはリボンが巻かれ、「Merry Xmas」と書かれたカードも
「サンタさんがパパをつれてきてくれたんだよ。わたしのおねがいをかなえてくれたの」
◆
『サンタさんへ。わたしはプレゼントはいりません。そのかわり、パパといっしょにクリスマスをすごしたいの。ひとりのクリスマスはいや。パパといっしょがいいの』
赤っ鼻のルドルフが操縦するヘリの中、ノエルはサンタ
「
眼下にきらめく宝石のような街の明かりを見下ろし、ノエルは|微笑《ほほえ》みを