幕間 ある者達の始まり
本作の主人公莉愛が従魔のマリンとなんやかんやしていた頃、光ある場所に身を寄せていた者達は絶望に打ちひしがれていた。それもそうだろう、たくさんの者たちが自分たちの目の前でなす術なく殺される様を見たのだ。もしここも安全ではなくなったら次は自分たちがああなると。ほとんどの者は考えていた。だがある場所に身を寄せていた青年たちは違った。
「おい、お前ら、いつまでもこのままでいいと思ってるのかよ」
「いや、蒼あおい、俺もこのままじゃダメだと思ってるけどよ。つったってどうするんだよ」
「決まってるだろ!あのわけのわからん生き物倒せばいいだろ!」
「いやいやいや、無理だろ!自衛隊とかの銃とか武器も聞かなかったらしいぜ。俺らに出来るわけないだろ」
「いや、見たところ直接殴るのは多少効いてたみたいだぜ。だからまず弱そうなの1匹みんなで囲んで袋叩きにすれば多分いけると思う!」
「いや、多分じゃダメだろ。何自信満々に言ってるんだ!」
「でもよー大和やまと、これ意外といけるんじゃね?危なくなったらすぐに逃げればいいし」
「お前なー!・・・ったく昔から言いだしたら聞かねーんだから。おい、伊織いおり、凛りんお前らはどう思う?」
「僕はちょっと危ないと思う」
「私はいいと思うわ。このままうじうじしてても何にもならないし。ちょっと体動かしたかったのよね!」
伊織は反対しているが凛はすでにいく前提で話している。楽観的で言い出したら聞かない蒼、いつもおどおどしているが俺たちのことを1番に考えてくれている伊織、男勝りで武闘派の凛。そして今じゃ伊織のストッパーになっている俺。俺たちは幼馴染というやつだ。気づいたらずっと一緒だった。地震があった時も一緒に次の休みにどこに旅行に行くか話していた。で地震の後今は俺たちの通う大学に身を寄せているわけだ。
「はあーー。凛、お前もう行く気満々じゃねーか。ていうか行かないという選択肢はないのか」
「ない!!」
凛も凛でなかなかに頑固だった。だからいつも俺や伊織が折れるんだが今回は命がかかっている。はい、そうですかと簡単に頷くわけにはいかない。
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なんて言ってたが結局折れてしまった。あいつらもうしつこすぎてしつこすぎて。子どもが駄々をこねるみたいになったから周りからすれば目立ったのだろう。ジロジロ見られていた。それが恥ずかしかったせいでもある。だが何とか条件を取り付けることに成功した。俺ら4人で固まって動くこと、話し合って対象を決めること、1人で飛び出さないことなどとにかくあいつらが暴走しないようにした。
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はあ、はあ、何とかなるもんだな。俺たちはウサギに似た生き物に決め4人で囲んで袋叩きにした。幸いなことに誰も大きな怪我をしなかった。ほっとしていた俺たちに声が響いた。
『ウィーケストラビットの討伐を確認。・・・』
これが俺たち4人の運命を大きく変えた。