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1. 異世界?召喚?

私の名前は神崎莉音。中2の、ゲーム好き。でも学校にはちゃんと行っている。そんな私が、異世界に…召喚?されたのは、数分前のこと。

その時私は、いつものように、家の自室でゲームしていた。今話題のMMORPGで、やっとボス戦まで来たところだった。一旦セーブしようとした、その瞬間、周りが突然暗くなったかと思うと、突然パッと眩しい光が目に飛び込んできた。

「眩し………え!?」

初めは全くなにも見えなかったが、次第に目が慣れ、目の前に…天使がいた。桃色の長い髪の毛、赤色の瞳、真っ白い服に、白い短めのスカート。頭の上に輪っかはついてないけど、少し銀色がかった白色の大きな羽を持つこの少女は、天使だ。多分。

「久しぶりだな、ウェル」
「…は?」

おっと、初対面の天使相手に、思わず素で反応してしまった。でも、仕方ないよね?だって、初対面の人に突然「久しぶり」なんて言われたら、誰だってこう反応しちゃうよ。あと、ウェルって、誰?私は、神崎里音なんですけど。“ウェ”も“ル”も名前に入ってないんですけど…!

「ウェル、長い地の世界での生活で、ワタシのことを忘れたのか?」

そう言って目の前の天使は笑い飛ばす。さらっと知らない単語が出てきたし、私なにも知らないの!あなたが誰かも知らないの!まず、ここはどこなの!誰か助けて~!
そんな私の心の叫びは天使には届かず…いや、この天使の顔的には届いてるんだな。さっきまでの笑い顔から一変、不思議な顔になっている。でも返事をしてくれないから、口に出して言う。

「あの、ここは、どこですか?あなたは、誰ですか?」

頭が混乱状態で、「ここはどこ、あなたはだあれ」の丁寧版になってしまったけど、今はそんなこと気にしている場合じゃない。

「ここは天の世界で、ワタシはミドエルだが…ウェル、本気で忘れてしまったのか!?」

身を乗り出して行ってきたけど、そんなに近づいても、知らないものは知らないの!
とりあえず、状況整理だ。

まず、私はどうやら、地球とは違うところに来てしまったらしい。で、ここは“天の世界”と言うらしい。さっき言ってた“地の世界”って言うのは、地球のことをさすのかな?
それで、私については、天使…ミドエルだっけ。ミドエル曰く、私の名前は“ウェル”と言うらしい。

…状況整理をしても、分かったことは0だな。いや、1個ある。私はなにも知らないってこと。でも、なにも知らない、何も分からないから、何もできない!こうなったら、目の前の人に、色々聞くしかないっ!

「あの、私はあなたのことを知りませんし、ここがどこかもいまいち分かっていません。そして、私は『ウェル』ではなく、神崎莉音です。もしかして、人違いではありませんか?」

これを聞いた天使?は、真っ赤な目を見開いて、

「ウェル…!?ワタシはミドエル、其方の名前は『ウェルシエル』だ。神崎莉音というのは、地の世界の仮初の名前であろう?そして、ここは天の世界の、天使の間だぞ?ウェル、本当に覚えていないのか…?」

と、爆弾を落とした。つまり、ミドエルは、私が地の世界…つまり地球では、仮初の姿で仮初の名前で生きていたと認識しているらしい。当の私には、そんなこと記憶の片隅にもないんだけど…。聞くしかないから聞いてみたのに、これじゃぁもっとよく分からないだけだよ…。

すると、突然後ろからバタン!という音がして振り返ると、扉の前に…天使が、2人いた。片方は雰囲気がミドエルに似ている、山吹色の髪の毛に、青色の瞳をもつ女の天使で、もう片方は、黒色の髪の毛に、緑色の瞳を持つ、背の高い男の天使だった。

「おぉ、ウェルシエル、久しぶり…といっても、記憶がないみたいだな。」

唐突に男の天使が言って、近くにあった椅子に座る。女の天使は、さっき入ってきた扉のすぐそばに立っている。天使がさらに2人も増えたことで、混乱の際に達した私は、

「えっと、あなたたちは、何者ですか…?」

と聞いた。それに対する答えは、想像の遥か斜め上を行った。

「私たちは天使。四大天使のミドエル、ラザクエル、サルマエルです。そしてあなたは、その四大天使の… 一柱(ひとり)ウェルシエルです。」



つづく

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