ルトルシニアVSブレグラン〜四天王〜{済}
ここは、ルドバの街の北東に位置する森の中。
涼香たちは、ゴルボラを警戒しながら後退りし、逃げようとしていた。
ガディスは、物陰からその様子をみている。
(なるほどな。ドラゴナードの者は龍がいれば力がつかえる。
あのゴルボラとかいう奴は、龍神バルロス様があの女と同化してることを知らない。
そういえば先程、信号弾を放ってたが……。近くにいれば救援がくるのも時間の問題か。
もし、そいつらが馬できたら。なおさら、ここまでくるのに、そう時間はかからないだろう)
そう思いながらガディスは辺りを見渡した。
するとガディスの読み通り、北東の方角から二頭の馬の蹄の音が聞こえ、こちらに向かってくるのがみえた。
(二頭の馬の蹄の音……。それに、あれは黒鹿毛と芦毛の馬!
まさか⁉︎ブレグラン国の四天王のあの2人が駆けつけたというのか。
そうなると、これはもう少し様子をみてからが良さそうだな)
そして涼香たちの後方に二頭の馬が止まり、2人の男が馬から降り近づいてきた。
「ゴルボラ。なにがあった?」
「これは、ネフロス様とラゴス様。まさか四天王のお二方にきて頂けるとは」
そう言うとゴルボラは一礼をする。
「ゴルボラ。まさかドラゴナード1人に手こずっていたのか?」
「はっ、申しわけございません。ですが、このドラゴナードの者は、龍がいないというのに魔法が使えたのです。そのため兵たちがやられてしまいました」
ゴルボラがそう言うとネフロスとラゴスは、涼香たちに視線を向ける。
「涼香、要。クッ。これはまずいことになりそうですね。……」
そう言いクルテルは涼香と要をかばいながら、ネフロスとラゴスを警戒している。
ラゴスは涼香たちを見まわすと、ふと疑問に思った。
「ドラゴナードの者と。ん?2人は人間のようだけど。なぜ1人だけ、フードを深々と被っているんだ?」
するとラゴスは、涼香に近づきフードをとろうと右手を伸ばした。
涼香はまずいと思い後ろに避ける。
要は咄嗟に、涼香のフードがとられるのを阻止しようと、左手でラゴスの右手をつかもうとする。
だが、それをみたネフロスが瞬時に要めがけ矢を放った。
するとガディスはみていられなくなり、
「なにをやっている⁉︎」
そう言いガディスはすかさずその矢めがけ剣を一閃する。
《魔剣 氷結斬‼︎》
と、ガディスは矢めがけ斬魔を放った。
その斬魔はネフロスが放った矢にあたり、一瞬で凍り跡形もなくくだけ散った。
「これは氷の魔法剣⁉︎まさか、なぜルトルシニア国の四天王がここにいる?」
ネフロスは驚きガディスをみる。
ガディスは涼香たちの近くまできた。
「たまたま、ここを通りかかっただけだ!」
「たまたまだとぉ。嘘をつくな⁉︎お前が用もないのに、この辺をウロウロしているわけがない!」
「ああ。そうかもな。だが急用ができ、たまたま通りかかった」
ガディスはそう言い、ネフロスとラゴスの動きを警戒している。
そして、ネフロスとラゴスはガディスを睨みつけた。