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ハッピーエンドのその先は

きっと私はそう遠くない内にアリエスにした行いの報いを受けるのでしょう。
それはアリエスに心を寄せる男性からかも知れない。
アリエスと友達になりたい女性からかも知れない。
あるいは、アリエスの魅力に負け、仲間が裏切るかも知れない。
きっとアリエスは神にも愛されているだろう。天罰が下るのかも知れない。
ただ一つわかっていることは、アリエスからの復讐は無いと断言できること。
アリエスはそんなことはしない。
アリエスには悪意というものが存在しない。
ただただ純真なのだ。
それがわかってしまう。
それが悔しい。
せめて私を憎んでほしい。嫌いになってほしい。
私のことで頭を悩ませてほしい。
私のことを認知してほしい。


私はもう駄目だ。
もう取り返しがつかない。
魔性のアリエスから早く距離を取らなければいけないとわかっているのに。
それを絶対にしたくない。
私はこのままでいるしかないのだ。
その先に破滅が待っているとわかっていながら、それがアリエスによってもたらされるものだと思うと拒めない。それはアリエスのいない世界で平穏に生きるよりも甘美なことのように感じられるのだ。
どうせこの西アルグはもう終わりだ。
アリエスの魔性に取り込まれた私たちに未来などあるわけがない。


もしアリエスが誰か一人の相手を選んだらどうなるだろう。
恐らくではあるけれど、血みどろの暗殺劇が待っているだろう。
では誰も選ばなければ?
それはこんな毎日がずっと続くということ。
こんな日々がずっとなんて続くわけがない。たった三年でこれなのだから。
ならもしアリエスが他の地方に移住しようとしたらどうなるだろう。
皆が後を追うだろうことは容易に想像できる。代々続く家を捨ててまで。


この西アルグの人々の運命はアリエスに握られている。
本人にその自覚の全くないまま。
私の愛した世界はもう間もなく崩壊する。
私は心のどこかでそれを待ち望んでさえいる。
この地獄から解放され、全てが破滅する時を、私は待ち望んでいる。

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