待ち伏せ{済}
ここは、ルドバの街の北東に位置する森の中。
涼香たちはエルラスタに向かって歩いていた。
ガディスは涼香たちのあとをつけている。
すると要は、エルラスタまであとどのくらいでつくのか気になり、クルテルに聞いた。
「クルテルさん。まだ歩くのか?あとどのくらいで、エルラスタにつくんだ?」
「要。そうだね。もう少し歩くけど疲れたのかい?」
「んーそういう訳じゃないけど。ただ、夜までにつくのかなぁって」
そう話をしながら歩いているとクルテルは、周囲から放たれている殺気に気づき辺りを見渡した。
「要。涼香……」
「クルテル。どうしたんだ?」
「どうしたの?」
「これは……。いつの間にか、連中に囲まれていたらしいね」
「連中って誰なんだ?」
「恐らくは、ブレグラン国の兵たちだとは思うんだけど。もしかしたら奴ら、待ち伏せてたのかもしれない」
「クルテルさん。もしそうなら、このままじゃ。……」
そう言うと涼香たちは、辺りを警戒をしながら、相手の出方を伺っていた。
ガディスもその気配に気づいた。
(これは……。よりにもよって、まさか奴らがこんなところに……。おそらく狙いは、あのドラゴナードの者だろう。
だが、このままではあの女も巻き添えになる。ボンゼル様に、あの女を傷一つ付けることなく連れてこいと言われているしな)
そうガディスが思い考えているとブレグラン国の兵たちは、涼香たちを囲いおいつめ近づいていった。
そしてブレグラン国の兵の1人が涼香たちの側までくると、
「ふん。やはりここで網を張っておいて正解だった」
その兵士は少し間をおき、さらに話しだす。
「龍の里の者が逃げ込むとすればエルラスタか、龍神バルロス様が支配している、いずれかの領地となるからな」
そう言うとクルテルの方をみた。
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この男はゴルボラ=ギレフといい、年齢は不詳。そして、ブレグラン国の兵士長である。
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クルテルはゴルボラと兵士たちの動きを警戒している。
「ふぅ。これは、私が狙いのようですね。さて、どうしましょうか」
「ファハハハハハッ!どうするつもりだ?龍は封印した。したがって、お前たちは力が使えないはずだが?」
そう言いゴルボラはクルテルをみたあと、涼香と要に視線をむける。
「それとも。そこの2人がお前に手を貸すとでもいうのか?」
「ふふ……。さあ、どうでしょう。もし、私が魔法を放てるとしたら?」
「ふん。あり得ん。まぁ、近くに龍がいれば話は別だがな」
そう言われクルテルは、ゴルボラをみたあと不敵な笑みをうかべた。
「そう、近くに龍がいれば私は力を存分にふるえますね。ククク……」
「ん?なにがおかしいのだ。お前なにを考えている?」
そう言うとゴルボラは、クルテルがあまりにも余裕な顔をみせていたので、龍がどこかに隠れているのではと辺りを見渡した。
そしてガディスはその光景をみて不思議におもった。
「んーどういう事だ?今の話だと。ブレグラン国の者たちが、ドラゴナードの住む龍の里を襲ったという事なのか?」
そうガディスが考えている。
するとゴルボラは、クルテルを見下すようにみた。
「ふっ。まぁいい。お前がみせているその余裕は、恐らくはハッタリだろうからな」
そう言うとゴルボラは右手をあげる。
「こいつらを始末しろ⁉︎」
そう言われ待機していた兵士たは、一斉に涼香たちに襲いかかった。