ルトルシニアの四天王〜魔氷剣のガディス〜{済}
涼香と要はクルテルの案内で、エルラスタに向かっていた。
♧
♣︎
……しかし涼香たちを尾行する者がいた。
♣︎
♧
(一緒にいるのはドラゴナードの者か。このまま奴らの領土に入られては、手が出せなくなってしまう。どうしたら……)
♣︎
♧
そう、この男はボンゼルの配下の四天王の1人でガディス=グラース。
他の者たちからは魔氷剣のガディスと怖れられているが、自分では白銀の貴公子と名乗っている。
歳は23。少し青みがかかった白いストレートヘア。前髪は目が隠れるほどに長く、左寄りに分けている。
見た目は冷く、ほぼ無表情な感じだ。イケメンではあるが。ただ、性格的?人間的に、一つ難点がある。それは……。
♧
♣︎
ガディスは涼香たちを尾行しながら色々なことを考えていた。
(んー……。ボンゼル様は、なぜこの任務を俺に……。はぁ、アリシスとのデートが……。怒っているだろうなぁ。
まぁいいか、アリシスにフラれても。その時は、他の女を探せばいいしな)
ガディスがそうこう考えていると涼香たちは、ルドバの街の活気のない食堂に入っていった。
それを確認するとガディスは、涼香たちのあとを追った。
♧
♣︎
♧
ここはルドバの街の活気のない食堂。
お腹がすいたため、涼香たちはここで休憩をとることにした。
涼香は素顔をみられたくないため、フードを深々と被っている。
そして涼香たちは、お店の人にテーブルまで案内してもらい椅子に座った。
「そうそう涼香と要は、お金を持ってなかったよね。ここは私がだすので好きな物を頼んでいいよ」
「クルテルさん。本当にいいんですか?」
「ああ。もちろん構わないよ。君たちは野宿つづきで、ここ数日ろくな物を食べていないだろうからね」
「確かに、そうだなぁ。じゃ、お言葉に甘えることにします」
そう言うと涼香と要は料理を注文した。
そして、その後ろのテーブル席にはガディスが座っている。
(んーボンゼル様は、あの女を上手くだまし連れてこいと言っていたが。
確か話を聞く限りでは、龍神バルロス様と同化し龍化したと聞いている。そのためか?フードを深々と被っていて顔がみえない。
まぁ、相手がいい女なら別なんだけどなぁ。んーしかし、こうも顔がみえないと判断にこまる)
そして涼香たちは食事をすませると、クルテルがお金を払い外にでる。
それを確認するとガディスは、食事をすませ涼香たちのあとをおう。
♧
♣︎
♧
その後、エルラスタに向かう前に必要な物を揃えた方がいいとクルテルに言われたので、涼香たちは市場に向かうことにした。
そしてガディスは、少し離れた場所から涼香たちの行動を監視していた。