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第2話Part.3~俺は軍神関羽の息子……?!

 広い部屋に通されてから少し経った時、部屋の外から足音が聞こえ、その音が大きくなってくる。スタスタスタスタという軽い足取りとノシノシノシノシという重い足取り。2人がこの部屋に向かってきている?花関索は人数とそれが男女であると感じ取っていた。
 部屋の前で足音が止まり、襖が開かれた。そして中に入ってきたのは花関索が感じ取っていた通り、老年の男と壮年の女。だが花関索はこの2人にはっきりと見覚えがあった。

 老年の男は花関索のじいさんである胡員外。こっちは花関索が暮らしていた頃とそんなに変わってないので簡単に分かる。
 そして壮年の女は花関索の母である胡金定だ。花関索が知る頃からは年は重ねてるが、昔からの美貌は健在。11年の歳月の差を埋めるのに少し戸惑ったが、だがそれが自分の母だと理解することにそう時間はかからなかった。

 こうして11年ぶりに再会した母子は抱き合って喜び、胡金定は立派な若者に成長した息子に涙し、立派に育て上げてくれた花岳先生と索員外に感謝して索員外とそして花岳先生が住む山の方向に向かって一度拝礼をしたんだ。

 まあ感動の親子再会もそこそこに、花関索は母の胡金定に対して自分の父について尋ねた。胡金定も自分の息子が来ると聞いて、当然父親の事について尋ねられる。それで答えなかったとしても索員外から聞くであろうことは分かってたから、包み隠さずに話し始めた。

 母から聞かされた花関索の実の父親は、この当時ですら中華に名を轟かせている軍神・関雲長。その彼の活躍は花関索も花岳先生から聞かされていて、ある種の憧れのようなものを抱いていた。そしてその関雲長が実の父であると聞かされ、まさかの大物が父と知って肝が据わっている花関索もブッたまげた。

 それでだ、今実父たる関雲長は主君であり義兄でもある劉玄徳と漢室再興の為戦っているのはもちろん坊主も知ってるな?
 そして花関索がこの話を聞かされた当時は劉玄徳と孫権が合従して赤壁で曹操の軍勢を焼き尽くした頃だ。

 曹操の100万の軍は諸葛亮と周瑜の火計で灰燼にしたのは坊主も知ってるところだろうが、曹操自身の領土はほとんど失っていないし、失った水軍も投降した荊州軍がほとんどで曹操自身の力はまだまだ健在ってわけだ。
 しかも合従した孫権は劉玄徳が得た荊州の地は我々のモノと主張しだす始末だ。一応の友好関係は続いていてもいつ崩壊するかなど分かったもんじゃあねえ。それくらい不安定な境遇に関雲長と劉玄徳は置かれてるってことだ。

 花岳先生からそのことも聞いていて知っていた花関索は父である関雲長、そしてその父が最も敬愛する劉玄徳を救う為に立ち上がることを決意した。
 そしてその際に花関索は花岳先生と索員外、そして実父の関雲長から一字ずつとって皆が知る花関索と名乗り始めたってわけだ。

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