10
「お前は、顔を洗ってこい。飯にするぞ」
「うん」
ニコッと微笑むシンに私は、元気よく返事をした。
シンは、相変わらず絶妙にタイミングがよく優しい。
そして朝食を食べると私は、学校に向かった。
学校で集まり、そこから歩いて山に向かう。
私は、1組なので先頭だ。
1年の遠足は、男女別に並んで行くのだが、手を繋いで歩くらしい。
すると煌君は、それに対して嫌がっていた。
「俺は、後ろで1人で歩くからいい」
どうも手を繋ぐことが恥ずかしいらしい。
そうでもなくても一匹オオカミなところがあるから、小山先生も困っていた。
一緒に歩くはずだった女の子は、断られて落ち込んでいて可哀想だし……。
どうしたものか……。
でも一緒に行くのなら、ちゃんとルールを守らないといけないわよね。
あ、そうだ……それなら。
私は、煌君と小山先生のところに向かった。
「煌君、なら私と一緒に歩こうよ!」
「はぁっ?だから1人で歩くって……」
「なら、これを持てば良くない?」
私は、ニコッと微笑むと水筒を見せた。
つまり水筒のヒモの部分をお互いに持つことで、手を繋ぐことにするのだ!
すると煌君は、はぁっ?とした表情をする。
「お互いにはしっこ持てば、手を繋いでいるみたいになるからいいんじゃない?」
「はぁっ?余計に恥ずかしい……。
それなら手を繋いで歩いた方がマシだ!」
「そう?ならやっぱり手を繋ごう」
私は、ニコッと満面の笑顔を煌君に向けた。
水筒が嫌なら手を繋ぐしかないじゃない?
すると煌君は、言葉を無くしていた……。
そして結局、私と一緒に行くことになった。
場所を変わってもらい後ろの方で歩くことに。
私は、煌君と手を繋いで歩けるのが嬉しかった。