第2話~迷子になったら拾われていつの間にか出家してました~
【三国時代の7尺=169.4cm】
張飛に見逃された胡金定はこの地を離れて人知れず子を産んだ。その子が物語の主人公、我らが花関索って訳だ。だが胡金定は彼に父の事は語らなかったようだな。
そして父を知らず母と7つになるまで暮らしていたんだが、その年の玄宵節に迷子になっちまった。まだこの頃には花関索とは名乗ってなかったが、ま、分かりやすいように花関索って呼ばせてもらうぜ。
当然母親とはぐれてしまったのだから心細いが、花関索は決して涙を見せずに居た。そんな時に索員外という金持ちの男に拾われたんだ。花関索の聡明かつ勇壮な面構えは際立っていて、当然索員外も彼がただ者では無いと感じて、彼を義子とした。
花関索は2年ほど索員外と暮らしていたんだが、索員外はふと昔の約束を思い出したんだ。その約束ってえのは道士の花岳先生に自分の息子を出家させることを約束していた。索員外は一目見た時から花関索をただ者ではねえと感じていたことは話したな?
この時代で教育を受けられるヤツは一握りだった。だが道士である花岳先生の元に預ければ教育を受けることができ、それはきっと花関索の大成に大いに付与すると索員外は考えた。それで花関索は3つ目の家、道士の花岳先生にお世話になることになったわけだ。
花関索は花岳先生の元で9年ほど暮らした。索員外の目論見通り、花関索は花岳先生から様々なことを学んだ。文字の読み書きや一般的な教養は金持ちである索員外から2年のうちに教わりもしていたが、道士としての勉強はもちろん様々な知識を学んでいった。
そして花岳先生は道士でありながら兵法や武術にも明るかったようで、六韜三略の教えや武芸十八般の修業も積み、花関索は持ち前の聡明さと勇壮な面構えに足る青年へと成長していったわけだ。
まあ父親があの軍神関羽だ。そして関羽ってのは武芸や軍略のみならず教養もあり、春秋左氏伝を暗誦できたらしいな。
【でもおっちゃん、暗記するくらいなら誰でもできるんじゃねえか?】
『まあたしかに物凄く暗記が得意だってヤツは居るが、ただ文として覚えるってだけでは暗誦は難しいもんだ。内容をしっかり理解した上なら何か読み間違えた時でも知識として合わないことが分かるから間違いは少ねえ。だから俺は関羽は春秋左氏伝を理解した上で文言をしっかりと覚えてると考えてるぜ。』
まあそんな関羽の息子である花関索はめきめきと成長していって18歳の立派な青年になったわけだ。
花関索は身長は父に似ず7尺程度と小柄だった。関羽に比べりゃ細身ではあるんだがその内に秘める弾けんばかりの筋肉はやっぱり関羽の息子であるとはっきり現してた。
関羽の容姿は厳めしく武人としての威厳を感じさせるものだったが、花関索は対称的に貴公子然とした華やかさを感じさせる容姿。まあ所謂イケメンってヤツだな。そして赤ら顔とされている親父の頬を少しだけ受け継いだのか薄桃色の頬が特徴的な容姿だった。
そして我らが花関索の物語は18の歳に大きく動き出すことになったんだ。