08
それから月日が過ぎて行く。私は、3歳になった。
見た目は、5~6歳ぐらいだろうか?
あの小さなオオカミは、あれから一度も姿を見せなかった。
シンは、仲間のところに戻ったのだろうから放っておけと言われたが私は、ずっと気にしていた。
そんなある日。私は、シンのノートパソコンでニュース番組を観ていた。
丁度、現在の小学生の事で特集をしていた。
サツマイモを皆で収穫しているところだった。
キャッキャッと楽しそうにやっているところを観ていると羨ましくなった。
いいなぁ~私も一緒にやってみたい。
前世では、ほとんど学校に行くことは出来なかった。
入退院の繰り返しだったし、記憶に残るような体験は、させてもらえなかった。
もちろん友達も出来なかった……。
病院で院内学級ってものがあり、そこで勉強を教えてもらったが発作が起きると行けない時も多かった。
皆と一緒に遊んだり勉強をしてみたい。
こんな風にイベントに参加してみたいと、ずっと夢に見てきた……。
今なら元気だし学校に行けるのに。
そう思うと、どうしても奥底にある感情が出てきてしまう。
”私も……学校に行きたい“って感情が。
チラッと横を見るとルイは、アイロンをかけていた。
丁重にシンのワイシャツにアイロンをかけている。
シンは、転がりながら小説を読んでいた。
私は、ルイのところに向かった。
「ルイ、シン。私……小学校で勉強してみたい」
その突然の言葉にルイの動きが止まった。
シンもズルッと手を滑らせていた。
あれ?そんなに驚くことかしら……?
「カレン。それ本気で言っているのですか?」
「う、うん。過去でも、ろくに学校に行けなかったから
今度は、きちんと通ってみたいの」
ルイは、それを聞くとチラッとシンの方を見た。
転がっていたシンは、座り直した。
そして真剣な目で私を見てきた。
「小学校に行くってことは、人間界で人間や周りの奴らと関わり合うってことになるんだぞ?
しかも毎日。危険もあるかも知れないし
何か起きたとしても学校に居る間は、俺らもサポートが出来ない。
それに学校なら、ここでも準妖精の子供達に教える学校がある。
それでも人間界の学校に行きたいのか?」