06
2人は、慣れているのかあまり気にしてない様子だが。
そして目的地の大きな書店に入って行く。
シンは、早速小説のコーナーに向かう。
そして好きなミステリー小説を手に取ると嬉しそうにしていた。
本当に本好きなんだなぁ……と思った。
しかし、それだけでは終わらずに気になる小説を物色し始めた。
「突っ立ているだけだと退屈でしょ?私達は、絵本コーナーにでも行きますか?」
ルイは、クスッと笑うと私にそう言ってきた。
私は、うんと頷くと絵本コーナーまで連れて行ってくれた。
絵本コーナーでは、親子連れが何人か来ていた。
もちろんその子達の母親の方は、ルイを見ると頬を赤らめていたが……。
ルイは、気にすることなく私をおろした。
私は、嬉しそうに近くにあった絵本を手に取る。
この絵本は、昔読んだことがあるわ!
そういう自分も実は、絵本や小説が好きだった。
入院で退屈ではないように母がよく絵本を持ってきてくれて読み聞かせをしてくれた。
自分でも読んだりしたが、それを見ながら自分もその世界に行けたらとか考えたものだ。
「おや?座るスペースもあって、読み聞かせも出来るようですね。
では、気に入った絵本があれば読んで差し上げましょう」
ルイがニコッと微笑むとそう言ってくれた。
やった~と思った私は、一生懸命読んで欲しい絵本を探して持って行く。
するとルイは、絵本と受け取ると私を抱っこしてくれた。
そして椅子に座ると私をお膝に乗せてくれた。
選んだのは、王道のピー○ー○ンにした。
妖精も出てくるし、ワクワクするストーリーが好きだった。
ルイは、読み聞かせをしてくれた。
自分でも読めるのだが彼の読み聞かせが好きだった。
爽やかで丁度いい低音ボイス。
優しい話し方は、読み聞かせにピッタリだった。
すると周りで同じように聞いていた小さな子供達が、
こちらに釣られて寄ってきた。
いつの間にか読み聞かせのイベントみたくなってしまった。
その子達の母親は、ルイにうっとりしている。
そして読み終わると拍手が……。
小さな子供達は、もっと読んで欲しそうに違う絵本を持ってきていた。
さすがにルイも苦笑いしていた。
そうしたら小説選びが終わったシンがこちらに来た。
「何だ?随分と人気者じゃねぇーか?」と言いながら……。