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前書き

 いよいよクライマックスへと向かう第4章ですが、その前に、ざっと第3章のおさらいです。
 第3章では、主人公ロウギ・セトは、事象分析局の巨大人工知能アルティマと融合して膨大な情報の海に沈み、過去の記憶を辿りながらも、妨害なのか膨大な情報による 浸蝕(しんしょく)なのか、心配な状況になっているようでした。
 一方、ヒロインの歌姫シェリンは、ヌール・ヴェーグ城に監禁され、夢見草から抽出した薬品を注射されて、彼岸の夢に沈み、過去の記憶を辿って、どうやら思い出したかった唄を見つけるも、取り返すことのできない喪失感を抱いたままに。

 第3章は、書籍版とエピソードタイトルは似ていても、内容的にはかなり違っていて、加筆修正削除はもちろんですが、約半分がほぼ書き下ろしです。特に、第3章の最終話は、詳細に書くことで、何故シェリンが訳の分からぬ想いに捕らわれ、思い出したい唄があるのか、その謎が伝わりやすくなったかなと思っています。

 主人公とヒロインが、状況は異なるけれど、それぞれに自分の、そして相手との過去を辿って謎に近づいたわけですが、第4章では、二人が二度目の邂逅へと向かいます。ただ、ナーサティアの妨害もあり、簡単にはいきません。

 さて、第4章についてです。

 第2章でシェリンの世話人ギイレス・カダムの殺害容疑で捕らえられた情報屋タルギン・シゼルも再登場し、彼の辛い過去が明かされ、シェリンと関わっています。このエピソードは、書籍版と内容が違っていて、このweb版は書籍化前のオリジナルに戻しています。書籍版では、登場人物とエピソードを削り、複雑な人間関係を描けなかった為に止む無く変更したので、オリジナルに戻せて書きやすく分かりやすくなったと思っています。

 巨蛮人バルカンも再登場。「第1章 8 円形闘技場=COROSIAW」では主人公ロウギ・セトと闘い、「第2章 5 狂科学者の洞窟」では、対戦相手であったロウギ・セトに助けられたことを知っただけでなく、出生の秘密にも近付きました。狂科学者ドナレオ・ダビルが巨蛮人バルカンに何を語ったのかは第4章で明かされ、それはシェリンとも関わってきます。

 テムルル・エイグとその妹で宗主の次妃リルデ、狂科学者ドナレオ・ダビル、軟禁中のトルキル大公、その 股肱(ここう)(しん)で行方不明中のダムセル・ダオル等も再び登場し、様々な謎も明かされていき、一気にクライマックスへ。

 どうぞ第4章を楽しんで頂けますように。
 ちなみに、第4章で終わりではなく、終章があります。最後までお付き合いくださいませ。m(_ _)m

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