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結婚式当日

日向と鷹弥の結婚式当日。

二人は朝早くに出て婚姻届を提出した。
証人の欄にはカケルとアキの名前が記されている。

役所の事務的な対応に、二人はまだあまり実感がなく相変わらず無言で手を繋ぐ。

二人で顔を合わせてクスッと笑い合い
「行こっか!」
と式場へ向かう。



日向の控え室。

ドアがノックされ、アキが入ってくる。

「ひな…綺麗…ホントに…」
と言うとアキは目にいっぱい涙を浮かべる。

「アキちゃん…」

日向はアキの側に行くと

「今までちゃんと言えなかったんだけど…いつも見守ってくれて、優しい言葉をくれてありがとう。私、アキちゃんが大好き」

アキの目を見てしっかり伝えた。

「もう、ひな泣かせないでよ!今日は私にとっても最高に幸せな日だよー」

とアキは言った。

「本当に…そうなってくれるといいな。また夜に…ね」

日向はそういうと式場の人に呼ばれた。

バージンロードを日向が歩く。
その先にいる鷹弥は優しい顔で微笑む。
日向と鷹弥の式は誰もが息を飲むほど美しく、幸せが溢れていた。

式場から出てくる二人がフラワーシャワーの階段を降りる。

アキとカケルは少し遠目で二人を見守っていた。

「本物のお姫様と王子様みたい…」

見とれながら言うアキは終始泣きっぱなしだ。

「お前…泣きすぎ」
とカケルがちょっと呆れたように言う。

「でも…人の幸せを心から喜べる、そんなアキが俺は大好きだよ」

優しい笑顔でカケルが言うと
「それはカケルもだよー」
と言いながらアキは一層泣いた。

「さぁ、パーティの準備に帰るか!」
カケルとアキはbrushupへ向かった。

二次会会場のbrushupでは着々と準備が進められていた。

「カケルー!ひな達そろそろ来る?」
日向と鷹弥が座るテーブルに花を飾るアキ。

カケルはブュッフェ形式にした料理を並べる準備をしている。
カケルは時計を見て
「もう来るんじゃない?」と言った。
今日はカケルの他のスタッフも総動員だ。

「みんなが来るまではまだもうちょっとあるよね!」

アキが言うとトビラが開いて

日向と鷹弥が入ってきた。

「あ!主役が来たー!んじゃひな、上で準備しよう!」

アキはテキパキと日向を2階へ連れていく。

「あ!今から男子禁制だからね!!」

階段からひょっこり顔を出してアキが言うと
「ハイハイ」
と鷹弥とカケルが声を揃えて言った。

アキは日向に
「今日はここ控え室にするから、着替えとかここでしてね」
と言うと

「…ってあれ?ドレスは??」

「んー…もうそろそろ来ると思うんだけど」
日向が言うと2階奥のスタッフ側の扉が開いた。

「え?」
アキが不思議そうにしていると

「こんばんわー…」
とひょっこり茜が顔を出した。

「えっ?!茜ちゃん?!」
何でここから?と驚くアキをよそに

「カケルくんに見つからないかドキドキしちゃった!」

と茜が言うと

「大丈夫でした?」
と日向。

茜は持っていた大きな袋をゴソゴソしながら
「うん、鷹弥くんが店の方でカケルくんと話してくれてるうちに入れたよ」

と言って袋からウエディングドレスを取り出した。

「え…カケル?どういう事…?」
アキはまだ状況が掴めていない。

「茜ちゃんどうやって裏から入ったの?」
とアキが言うと

「今日はカケルちゃんのスタッフも鷹弥の言いなりなの」
日向がニッコリ笑った。

すると続けて

「さっ!アキちゃん、着替えよっか」
と茜がニッコリ笑った。

「え…このドレス…」
アキはまだ状況が掴めていない。

「アキちゃんが今からこのドレスに着替えるんだよ。」
茜が念押しで言う。

「アキちゃん、今から結婚パーティなの。アキちゃんとカケルちゃんのね」

日向が言ってアキはようやく状況が理解できたと共に泣き出した。

「もー泣いてないでほら!脱いでー」
茜は笑いながらアキの服を脱がす。

「何で?どーして?」
アキは着替えながらまだグチグチと言っている。

「自分のことは二の次で人の幸せばっかり手伝っちゃう二人だから…こうでもしないと…ね」

と日向が続けて言う。

「でもさすがに…ちょっと直前すぎてドレスとか茜さんにも相談してたの。」

「私ウエディングプランナーだからね。」
茜もアキの着替えを手伝いながら言う。
「このドレス…気に入ってもらえるといいけど…」

茜が選んだというそのドレスはシンプルだけど個性的なデザインのスレンダーラインで、アキの雰囲気にピッタリだった。

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