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カケルの行動力

鷹弥が目を覚ますと日向は安心しきったように可愛い寝息を立ててまだグッスリ眠っていた。

鷹弥はそっと髪を撫でると日向のおでこに軽くキスをして、起こさないように静かにベッドを出た。
外を見ると夕暮れ時だった。

日向が目を覚ますと横に鷹弥はいなくて仕事机に座ってパソコンを見ていた。
見慣れない眼鏡姿に片足を椅子にあげて膝に肘を置いて頬杖つく姿がデスクライトに照らされていた。
本当にカッコよくて見とれていると鷹弥が気付いた。

「起きてたの?」
という鷹弥に
「今起きた…仕事?」
と聞いた。

「ちょっと開いて見てただけ」
と言うと眼鏡を外して冷蔵庫から水を取って日向に渡した。

「晩飯、外出れる?カケルが言ってるんだけど」
と鷹弥が言って日向はハッとした

「そうだ、私カケルちゃんに何も連絡してない」
そう言って日向が焦ると

「俺ん家にいる事は連絡してる」
と鷹弥が言った。

用意して外に出ると鷹弥がbrushupとは逆方面に歩き出した。

「brushupじゃないの?」
日向が聞くと
「今日は日曜の晩でヒマだからスタッフに任せて出るらしい」
と言ってしばらく歩くと個室居酒屋みたいな店に入った。

店員に案内されて席に行くとカケルが先に座っていた。

「おーおつかれー」
カケルはbrushupと同じように笑顔で出迎えた。

鷹弥と横並びに席に座ると日向はカケルに向かって
「カケルちゃん、本当にごめんなさい」
と頭を下げた。

その勢いにカケルも鷹弥も少し驚いたように日向を見たがすぐに
「ホントだぞー!無茶するから!」
とカケルは優しく日向に言った。
そして

「結果的にはあれで圭輔との事はハッキリできたんじゃないかな。ちゃんとひなは圭輔の顔みて最後言葉にしただろ。あれで圭輔も少しは救われたと思うし、俺もさすがひなだと思ったよ。」と続けた。

それは鷹弥も同感だった。

「多分圭輔はもう大丈夫だよ。状況は変わんないと思うけどひなに何か…ってのはないと思う。」
と言った後のカケルの言葉に日向と鷹弥は驚いた。

「あの後、圭輔送って茜ちゃんに会った。」

日向と鷹弥は時が止まったかのようにカケルを見た。

「見事に同じ反応するね」
と言ってカケルは爆笑した。

「俺も実際あんまり茜ちゃんの事はわかってないから気になってたし、ひなの為ってわけじゃないよ。俺にとっては圭輔もひなに会う前から友達なんだ。」

カケルがそう言うと

「お前ってそういう奴だよな…」
と鷹弥は納得したように言った。

「会った感想から先に言うけど」
と言うとカケルは鷹弥の方を見て

「ひなに対して言葉を濁してる場合じゃないと思う。」

とハッキリ言った。

カケルと鷹弥が目を見合って沈黙する。

日向も黙って二人を見る。

先に沈黙を破ったのは鷹弥だ。

「カケルがそう思うなら…」
鷹弥は本意ではなかったがカケルの事は本当に信用していた。
それだけの事があったんだと思った。

カケルは鷹弥が同意したことに安心したようにふぅと息をつくと話し出した。

「鷹弥と俺が知ってしまった事は、ちゃんと俺たちから聞いてひなが知っておいた方がいいと思うんだ。」

と言って茜と会った時の話を説明し出した。

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