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BBQの日

2回目に圭輔が家に来た日に初めての日のシャツを持って帰った。

でも今は洗面所に歯ブラシが2個並んでいる。

あれからまた何度か圭輔は家に来た。
brushupの帰りに寄って始発までいたり、早めに来て終電で帰ったり。
でも毎回何時までいれるのか聞いたりは絶対しなかった。
好きな時に来て好きなだけ私を抱いて好きな時に帰る、圭輔にとって“そうしたい”時間があるなら日向はそれでいいと思っていた。

この関係が続く期待もしないけど、もう不安にもならないと思った。

そして今日はBBQの日だ。
今日仕事という嘘をついた手前、昨日はbrushupにも行かなかったので、昨日の夜からどうもヒマを持て余してしまっている。

生真面目な性格が災いして
仮病で学校を休んだような後ろめたさで出かける気にもなれない。

(はぁー…ホントに休日出勤でもしようかな…)

とりあえず身支度をして家を出ようとするとスマホが鳴った。

(LINE)…brushup⑱

あ…そうか、グループLINE…
今日ほとんどみんなBBQに行ってるからココでやり取りしてるのか。

『〇人揃いました!先現地行ってるねー』
『了解!お酒足りる?』
『今駅!なんかいるものあったら言って』

…コレは…今日はスマホが忙しく鳴るな
ハハッ…
と日向が覚悟した時
『ひなー!仕事頑張ってね』
圭輔だった。嘘って知ってるくせに、と思いつつも忘れてないよってサインが嬉しいと思ってしまった日向だった。

(やっぱり会社行こう。)

会社に着くと休日出勤とはいえやる事は結構あって終わる頃にはもう18時を回っていた。
(結構時間潰せたなー)と伸びをしてスマホを見た。

LINE128件?!?!

グループLINEに今日の写真がいっぱい送られていた。
そうか…写真交換でグループLINE…
使うよね…
日向はどれだけ避けたって逃げ切れない現実がすぐそこまで来ている気がした。

覚悟して送られてきてる写真をスクロールする。
(あ、昼間だからカケルちゃんも行ったんだー…)
かなりの人数だったようで知らない人もたくさんいた。
(この中の誰が茜さんかはわからない…よね?)
と思いながらスクロールすると、見覚えのある圭輔の横顔が写っていた。
その圭輔と会話するように視線を合わせてる人が
(茜さんだ…)
圭輔の表情はいつかのスマホを片手に愛おしそうに笑ってる笑顔だった。
(やっぱりわかっちゃうよね…)
その写真に写ってる彼女は髪に隠れて顔はよく見えなかったけど、以前圭輔から聞いたイメージそのままだった。

そしてグループLINEの途中には
『茜がグループに参加しました』
と入っていた…。

(…圭輔さんとこうなった以上前よりもっと顔を合わせるなんてムリだよ…)
日向は胸が苦しくなった。

グループLINEとは別にアキからもLINEが来てた。

『ひなー仕事おつかれ様♡やっぱりbrushup行くことになったから来れたらおいでね~』

(そっか、私連絡するって言ってたんだった…返信しなくちゃ…)

日向がアキへ返信しようとしたらちょうどLINEが入ってきた。

『brushupおいで。彼女は帰ったから。
会いたいし』

圭輔だった。
今日はどっちの顔も見たくないのにこんな風に言われたら断れないじゃん。
ズルい。こんなのは本当にズルいよ…

『今仕事終わったよー!もうちょっとしたら行くね。』
日向はとりあえずアキに返信した。

ふぅ…。少し落ち着こう!

近くのカフェに入ってコーヒーを頼んで圭輔に返信した。


brushup______。

『ズルいです』

カウンターで圭輔がひなからの返信画面を見てスマホを片手にフッと笑った。

カケル「なになにー?圭輔、さっきまで一緒にいたのにもう彼女から連絡?」
カケルが圭輔を冷やかした。

圭輔「いや、ひなだよ。来るって。」

カケルは圭輔から返ってきた言葉に驚いた。
カケル(え…コイツ…気付いてないのか?今完全に彼女からの連絡の時と同じ顔してたぞ)

カケルはちょっとたしなめるように
「あのさー…圭輔…」
と言うと圭輔の方が先に
「カケルちゃん。前に言ったよね。ひなは絶対俺が困るようなことは言わないって。」

先に言われたカケルは口ごもる。

圭輔「ホントに言わないんだよ。俺…困らせてってお願いしたのにアイツはなんも言わない。いい女過ぎて困ってるんだけどね…」
と言ってすぐ
圭輔「俺…出禁かなぁ…」
ちょっと寂しそうに言うからカケルは何も言えなくなってしまった。

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