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日向の部屋

圭輔さんが私のベッドにいる…
余裕のない顔で私を欲しがり時に切ない声を漏らす。
私もそれに応えるように快楽に反応する。

でも朝まで抱き合っても私たちが一緒に眠ることも言葉を交わすこともなかった。

始発が出る頃。
圭輔さんは黙って服を着た。
(あ…帰るのか。)と思うといろんな気持ちが込み上げる。

この関係は今日限りですか?
次会ったらまた笑ってくれますか?
私はbrushupでいつも通り会ってもいいの?
どの気持ちも言葉にはならず
私はバレバレの寝たフリをした。

圭輔さんはやっぱり頭を撫でて
「ひな、またね…」とおでこにキスをして帰った。

一人になるとやっぱり泣けてきてしまった。好きな人に抱かれたのに、幸せより複雑な気持が大きいことがあるなんて知らなかった。

私だけが好きなはずだった。
叶わない想いのはずだった。
身体を重ねても私のモノにはならない。
私がこの想いを口にしなければ誰も傷付かないと思ってた。

でも…
昨日の圭輔さんからは愛を感じてしまった。それは彼女に対するものとは違うのかもしれないけど、確実に私の想いを受け止めてくれたと感じてしまった。

…シャワー浴びよう…

ベッドから出ると順番に脱ぎ散らかされた服。映画のワンシーンみたいだと思っても事後はただただ生々しいだけだな…なんて思いながら拾う…

ん?

圭輔さんのシャツ…

♬︎~(LINE)
スマホを見ると

『シャツ忘れた~!次行くまでに洗濯しといて♡』

え…めちゃくちゃリビングの扉の前にあるんだけど…

(わざとか…)

“次行くまで”
今日が最後じゃないという事にほっとした自分がいた。

すぐに
『わかりました』
と可愛げもないただ了承しただけのLINEを返した。

圭輔さんからもそれ以上は何も返ってこなかった。この関係に甘いやり取りなんかいらない。そうだ。私たちはこれでいいんだ。

こういう態度だけで安心をくれる人だから。そういう圭輔さんが好きなのは私なんだから…

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