バナー画像 お気に入り登録 応援する

文字の大きさ

18


 そして数日後。私と課長の結婚式を行われる事になった。
 選んだウェディングドレスを着て、父親と一緒にバージンロードを歩いた。
 少しずつ歩くたびに結婚するのだと実感していく。

 向かっている先には、白いタキシードを着た課長が立っていた。結婚するまで色々あった。
 あんなにイケメンしか興味がなかった私なのに。
課長に会ったのは、ただの偶然だったとは思えない。

 もしかしたら、どこかでそうなるようになっていたのかもしれない。まるで運命のように。
 課長のお陰でいろんな自分を知った。改めて考えさせられた。

 課長に好きになれた事は、私にとって今だと大切な宝物だ。
 出会えたことも、怖いと思いつつも一緒に婚活に励んだことも、どれも大切な宝物。

 近くまで来る父親から課長の所に歩いて行く。
チラッと父親を見ると少し涙ぐんでいた。
 ありがとう……お父さん。
前を向き直すと課長は、微笑んでくれた。

 あんなに怖いと思っていた課長の容姿なのに、今だと明るい光のせいかキラキラして眩しい。
 カッコよく思えてくる。不思議だ。

 課長の手を取り歩き終わると隣に並んだ。
神父が一言一言誓いの言葉を言ってきた。
 心臓がドキドキ高鳴ってうるさい。

 「はい」と誓いの言葉を言うたびに、緊張で声が裏返りそうになった。そして指輪の交換。
 手が震えて上手く課長の指にはめられない。
あれ?どうしよう……。

「宮下。慌てなくていいから落ち着け」

「は、はい」

 ボソッと課長に注意をされてしまう。
落ち着け……自分。そっとやるのよ!
 だが、カランと手から落ちて転がってしまった。
あぁっ……!?
 周りは、微妙な空気になって静まり返る。
ど、どうしよう!?

「宮下。お前……何をやっているんだ?」

ひぃぃ……っ!!
課長の低い声を聞いて思わず身体が震え上がる。

「す、すみません。急いで拾います!」

 慌てて指輪を拾おうとする。
だが、慌てて拾おうとしたので足がドレスの裾を踏んでしまう。

しおり