12
「……そうか。分かったからひとまず落ち着け。
お前の言い分は、よーく分かったから」
その言葉にハッとした。
や、やってしまった……!?
こうなると分かっていたから課長には、イケメンの話をしたくなかったのに。
明らかに引いている課長だった。
目線を逸らしてきたし……。
絶対に聞くのではなかったと後悔をしているはずだわ!!
「す、すみません。調子に乗り過ぎてしまいました」
椅子に座ると頭を深々と下げて落ち込んた。
あぁ、絶体絶命だわ。これは……。
美希や真美子にも散々言われていたことだ。
あんたは、イケメンを語り出すと周りが見えなくなるから気をつけろと……。
自分も気をつけようと思って日常では、イケメン単語は、言わないようにしているのに。
課長が聞いてくるから……。
このままだと課長に嫌われちゃう。
……うん?嫌われて……何か困る事でもあるの?私。
普通に考えて別に困らないわよね……?
好き人なら大惨事だけど課長は、別に好きでも何でもないのだし。
むしろ苦手なんだから……構わないはずなのに。う~ん?
首を傾げながら悩んでいると課長が口を開いてきた。
「こちらこそ悪かった。お前の事を理解するために聞いたのだが……」
「それ以上何も言わないで下さい。
分かっていますので……」
返って言い訳をされる方が申し訳なく惨めだ。
こんな事……課長ではなくても理解されにくい。
私は、それが当たり前なんだけどそれが、人によって当たり前とは限らない。
オタクを理解されるのは、なかなか難しいものだ。
「いや、そういう意味ではなくて……」
課長は、言葉に困っていた。
いいんです。理解してもらおうとは、思いませんから。
私が個人で楽しめばそれでいい……。
「宮下……俺は……」
課長が私に何かを言おうとする。すると、その時だった。
ピンポーンと朝早くからインターホンが鳴り出した。
私は、ハッとする。
えっ?こんな時間に誰が!?課長のお客さん?
オロオロしていると課長がハァッとため息を吐いてきた。
「こんな時間に訪問する奴は、裕太だな」