01
「ど、どうしてですか……?」
私の心臓は、ドキドキと高鳴りながら理由を尋ねた。
店員さんが止めるなんて普通ではないことだ。
しかも同席している男性に対して……。
「大変失礼だと承知で言いますと、あの安西様は、先週に違う女性と当店にお連れしていました!」
「えっ……?」
「しかも一度や二度ではございません。
先月や先先月も違う女性をこちらにお連れ致してました。
私の知る限りでは……8人ぐらいでしょうか?」
は、8人……!?いやいや。ちょっと多過ぎじゃない?
えっ……それってどういうこと?
「店員の私が言うのは……どうかと思ったのですが、ご一緒していた不知火様の事を考えますと。
どうしてもお伝えしておきたくて……すみません」
申し訳なさそうに謝ってくれるイケメン店員さん。
私は、あまりにも驚きで頭が真っ白になる。
だがすぐに我に返り納得した。道理で……。
だからお手洗いの場所も知っていたのか。
それに、こんな最高クラスのイケメンが私なんかに振り向いてくれるはずがない。
あるとしたら結婚詐欺か……何股をするような浮気男だ。
美希や課長の言った事の方が正しかった。
もともと彼を見極めるつもりで、ここに来たけど……イケメン店員さんのお陰で被害に免れた。
何とも感謝したいぐらいよ。
私は、クスッと笑うと深々と頭を下げた。
「教えて下さりありがとうございます!
もともと怪しいと思っていたのでお陰様で気づくことが出来ました」
「いえ、こちらこそ。
出来すぎたまねをして申し訳ありませんでした」
「いえいえ。こちらこそ悪いのですから、頭を上げください。
あの……それよりかちょ……不知火様の事を考えたらと言っていましたが、どういう意味ですか?」
私は、不思議に思いそちらを尋ねてみた。
何故そこで、課長の事を考えたのだろうか?
知り合いには見えないし……。
「あぁ、あの時お越し下さる前に予約される時に直接下見に来られたんですよ。
一番夜景が綺麗に見える席にしてほしいとお願いをされて」