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5話

  







週末。


夜。

慌ただしい仕事の日々は終わった。


仕事の後ベッドに入ると、いつも彼のことを考えていた、

もう病気だ・・・・・・

恋の病。


あまり食事も喉を通らない。

よく眠れない。




あの楽しかった彼との30分ほどの会話を思い出す。

まるで魔法にかかってしまったかのよう。




気づくと、ガイアのホームページを見てた。


更新されていて、楓さんの写真が中央あたりに貼ってあった。


爽やかな笑顔。


他の20人あまりのホストと同じく、源氏名のみで、紹介文は書かれていなかった。


彼の写真にはお店のナンバー1からナンバー10の人たちの写真が。ナオキさんもその中に。


彼の写真の上にはナンバーがなかった。


お店内でのランキング、どうなんだろう?


心配になる。



お金稼げないと、クビになっちゃうのかな・・・・・・







もう心は決まっていた。






パソコンのキーボードに手を伸ばす・・・・・・





「いらっしゃいませ」


古賀さんだ。


「カナさん!またいらっしゃってくださったんですね!お待ちしておりました」


「いえ・・・」

照れてしまう。





「今日は、ウチのナオキ、あいていますよ」

「あの、楓さんで、お願いします」





それを聞いて、古賀さんはにっこりした。


「かしこまりました」

数秒して画面が切り替わる。


今日も白いスーツを着て、銀色の髪を輝かせていた。

そしてあの、笑顔。


「カナ、また着てくれたんだね。こんばんわ」


「こんばんわ」


「ずっと来てくれなかったから、寂しかった」

「私もです・・・・・・」

「仕事、忙しかったんだ」

「はい」




「カナは頑張り屋さんだね、ほんと来てくれて嬉しい。今日は何飲む?」



今日は缶チューハイって言おうとしたけど、ちょっと高めの焼酎の鏡月にした。




「オッケ〜」



2人、焼酎を取り出す。



「カンパーイ!」


「カンパイ!」



画面越しに2人で乾杯!!!


それからは30分は話した。正確には覚えてないけど。


コロナの不安とか、仕事の不満、大変さとか、なんでも聞いてくれた。

なんか、ストレス解消できた。


そして彼と話できることが素直に嬉しい。

やっぱり、缶チュウハイを飲んでしまった。2杯も。まあいっか。


でも決して私の個人的なことは聞いてこない。

だから、彼にも聞かない


本当は、本名とか聞きたい。


彼女さんはいるの、とか。


他のお客さんにも私みたいにする対応をするのか、とか。


私、嫉妬してるな・・・・・・





そんなことを考えていると、何やら楓さんの後ろが騒がしくなった。

すごい音。


見ていると、後ろでマスク姿の茶髪や金髪のイケメンホストたちが集まって来ていた。

「何ですか?いったい?」

「ああ、シャンパンコールだよ」


「へー」


噂には聞いたことあったけど、こんなに派手なんだ。


何かコンサート会場のようにホストたちが女性を囲んで、叫んでいる。


「なんかすごい楽しそう!」

「やってみたい?」


「はい!」


あることに気づく。






「でも、高いんですよね。払えるかな?」






「うちは、他と比べて高くないよ。ドリンク代を払えばいいだけ。3万円くらい」





「うそ! 100万円とか、1000万円とかかかると思ってました!」






「あ、それは店全員のホストを呼んだときだよ笑 オールって言うんだけど」





「そうなんですか。すごい高いですね」




「カナは大丈夫」




「え?」





「僕と話に来て、癒されにきたんでしょう?」




「はい」



「そんな、無理してお金使ってくれる必要ないよ。僕が精一杯楽しませてあげるから。それが僕の仕事」



「あ、ありがとうございます!」



「でさ・・・」


「ハイ・・・!」




「ウチの店、来てみない?」

「え?」


「え、行っていいんですか?」


「もちろん」


「でもコロナが・・・」


「大丈夫だよ。ウチは万全の対策してるし」



「はあ・・・」





「僕と会いたくない? 僕はカナに会ってみたいな。実際に」

考える前に、しゃべっていた。


「会いたいです! 私も! 楓さんに!」

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