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「はぁ……まぁ趣味を兼ねて覚えました」

「なるほど。それは、素晴らしいですね。
皆様もぜひお手本にして下さい。えっと……お名前は……?」

 参加表を見る杉本先生。
おっ……これは、チャンスだわ!
私は、思わず手を挙げてアピールする。

「13番の宮下です。宮下菜々子」

「そうですか。宮下さん頑張って下さいね」

 ニコッと微笑んでくれた。
あぁ、イケメンの笑顔で微笑んでくれたわ。私に……。
 喫茶店を経営するために必死に覚えて良かった。
そう思いながらうっとりと見惚れてしまう。
 しかし後ろから黒いオーラを感じた。
ゾクッと寒気が走る。

「宮下。お前……わざと下手に振る舞っただろ?」

「な、何の事でしようか……?」

 ヤバイ。バレてしまったわ……。
私が料理が出来ないと嘘を言ったことが。

「俺はな、いい加減な奴とやれば出来るくせに手を抜く奴が死ぬほど嫌いなんだ。
 お前……俺が見ている前で手を抜くとかいい度胸しているじゃないか?あぁ!?」

ひぃぃっ……!?
あまりの怖さにまたもや後退りする。
 その怒り方は、ヤグサとまったく同じだった。
とにかく怖い……。

「いいか?俺の見ている前で二度とそんな真似するな。
分かったのなら、さっさと調理にかかれ!」

「は、はい。すみませんでした!!」

 私は、慌てて残りの玉ねきをみじん切りする。
なんで、私がこんな目に遭わないといけないの!?
 もう玉ねぎで泣いているのか、恐怖で泣いているのか分からなかった。
 結局あっという間にハンバーグが作り終わる。

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