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周りのテントにはたくさんの報道人がいる。
ある程度の距離はあるが、こんな薄いテントでコトに及べば、筒抜けになる。
真理も時々、そう言う場面に出くわしてきたから知っている。

しかもすぐ隣はティナのテントだ。

真理は彼の熱い掌が下着の中に入り込んで肌を弄り出すと、声を上げないように自分の口を両手で抑えた。

彼の熱い手が肌を滑ると、真理の身体はしなった。忘れていた感覚が、触られる箇所から篝火のように全身に広がっていく。どこもかしこも火照って甘い痺れを呼び起こす。

彼は肩に顔を埋めたまま、耳を熱心に舐めしゃぶる。ビチャビチャと言う水音と、熱い吐息が静かなテント内に響いて、真理は誰かにバレるかもしれない緊張感とともにひどく乱れてしまう。

アレックスが顔を上げて、わずかに身体を起こすと、真理の下に手を伸ばした。
真理は戦地ではいつでも登山用の服装をしている。機能的で便利だからだ。
履いているトレッキングパンツのウエストボタンを外されて、丸ごと全部ずり降ろされると片脚だけ引き抜かれた。

そうして、また彼は身体を重ねると、自分の間に自分の身体を沈ませる。
胸や脇腹を軽く撫でてから、静かにそこへ指を這わせた。

「熱い・・・俺を覚えてる・・・」

アレックスが嬉しそうに呟くと真理は羞恥でギュッと目を閉じた。

久しぶりに姿を見て
声を聞いて
名前を呼ばれて
抱きしめられて
口付けられて
触れられて

・・・反応しないはずはないのだから・・・

彼の指に翻弄される。

アレックスが堪えるように息を吐き出しながら、身体を起こして立て膝になった。かちゃかちゃとベルトのバックルを外す音にジッパーの開く音が聞こえてきて、それすらも真理の感覚を煽る。

待ちきれなくて早く欲しい。
はしたなくどんどん潤うのを感じて真理は、早くと急かすように、自分のズボンと格闘している彼の手に自分の手を重ねてジッパーを下ろした。

前を寛げたのだろう、アレックスがまた覆い被さってくる。
片手で真理の膝裏を抱えて開くと、ゆっくりとそれを押し当てた。

瞬間、激しい刺激に襲われて、真理の腰が快感で飛び跳ねた・・・いや、それは正しくない。
飛び跳ねるほどの快感が身体を走り抜けたのに、押さえつけられている身体は、動くことも許されず、ただただ与えられる快楽を受け止めたのだ。

「・・・真理・・・」

耳元で囁かれる自分の名前。
微かな中に熱っぽさがあって、真理はその声だけで、彼を待ちわびて自分のそこは戦慄いてしまう?

真理の身体がビクビク揺れるのに構わず、アレックスは自分を静かに突き入れると久しぶりの中をじっくりと突き進む。

「・・・ふっ!んんっ!」

押し殺しても漏れる声に慌てても、止まることなく、真理を押し開いていく。
彼に言われた通り、すでにとろとろのそこは、すぐにアレックスを愛しはじめる。

どくどくと彼の鼓動に合わせて脈打つそれが堪らなく愛しい。
アレックスが確かに生きているのだと、感じることができる。

しっかりと繋がりあうとアレックスがふっと息を吐き、真理の口元から抑えていた手を剥がして、軽い口づけを落とした。
そして甘い声音でひっそりと囁く。

「熱い、最高に気持ちいい。蕩けててたまらない」

恥ずかしさマックスの言葉だが、気持ち良いのは真理も同じで・・・堪らずアレックスの頭を抱き寄せると自分から彼に口付けた。
頬に触れる無精髭すら心地よい。
声を上げないようにお互いに舌を貪欲に絡め合う。

そうすると心も身体も満たされて、中にいる彼をもっともっとと強請ってしまう。

その刺激に恋人がキスの合間に微かに呻いた。
意趣返しとばかりに、揺すられて、真理はあっという間に愉悦の波に押し上げられてしまう。

いつもとは違う焦れったいような、波間に漂うような悦楽に腰が震えて。

うっとりしながら彼と口を合わせ、深い所でお互いを混じり合わせる。

言葉もない、激しさもない、お互いの存在を・・・生きてることを確認するような情熱の溢れた快楽の交歓に、真理の全てがじっとりとした愉悦に攫われると、アレックスも呻きながら真理の中を濡らした。

自分の中を、満たしていくそれに、今までにない充足感を感じてしまう。

微かに呼吸を乱しながら、アレックスは顔を上げると、真理のシャツをたくし上げて素肌の胸に何度も口付ける。
そしてそのまま、真理の胸に顔を埋めて頬を何度も擦り付けた。

幼子のようなその仕草に、真理は愛しさばかりが募って、黙って彼の頭を胸の中で抱きしめる。

限られた時間の中、二人はずっとそうやって刻を過ごしたのだった。

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