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龍の角笛{改済}

 ここはファストル城の北東に位置する山。

 この山のふもとでは、龍神祭の準備が着々と進められていた。


 石の祭壇の周りには草木が生い茂り、ふもとから眺める景色は絶景そのものである。


「フゥ。こんなもんかな。そういえば知ってるか。今年の龍神祭は、この国の女を生贄にしないですむらしい」

「ほぉ。それはどういう事なんだ?」

「ボンゼル様が言ってたんだが。他の世界からきた女を、生贄にするんだとさ」

「他の世界って。そんなことが、本当にあるのか?」

「さあな。だがこれで、龍神バルロス様が、今年も大人しくしてくれるなら誰でもいいんじゃないのか」

 そう2人の兵士が話をしていた。

 するとボンゼルが涼香を抱きかかえ、配下の者たちを引き連れ、兵士たちの側まできた。

「お前たち、準備の方はどうだ?」

「これは、ボンゼル様。準備の方はできております。あとは生贄を祭壇に捧げ、龍神バルロス様をお呼びするだけでございます」

「そうか。では、この女を祭壇に捧げるとするか」

 そう言うと涼香を生贄の祭壇に寝かせた。

 ボンゼルは、配下の者と兵士たちに避難をするように指示を出した。

 そしてボンゼルは、全員がその場からいなくなったことを確認すると、龍の角笛を取り出し空に向け吹いた。

 ……キュルルルルゥゥゥーーー……

 そう鳴り響くと、先程まで晴天だったはずの空が暗くなりはじめる。そして黒い雲がモクモクと広がりだした。

 すると辺り一面に、

「ギャオォォォーーン!!」

 と雄叫びが響き渡り、ボンゼルはその声を聞くと急ぎその場を離れた。

 ♧
 ♣︎
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 そして場所は移り、ここは要が寝かされている部屋。

 要は、お菓子などをあまり口にしていなかったため、大臣の予想よりもはやく目覚めた。

 そして要は辺りを見渡したあと起きようとする。

 だが要は、身体を縄で縛られ動くことができなかった。

(クソォッ!これじゃ動けねぇ。そういえば、涼香はどうなったんだ?)

 そう思っていると扉の向こうから、見張りの兵の話し声が聞こえてきた。

「はぁ。いつまで、こんなことが続くんだろうな」

「そうだな。でも今年の龍神様の生贄は、あの異世界からきた女らしい。この国の女を生贄にしないですんだだけでも、良しとしないとな」

「そうだな」

 それを聞いた要は、涼香を助けなければと思い、身体を縛り付けている縄を解こうとした。

 だが縄は解けず、気持ちばかりが焦りはじめた。

(クソォッ!?こうしている間も涼香が、生贄に……。どうにかして、この縄を解かなきゃ)

 そう強く思いひたすら縄を解こうとするが、やはり解けず。

(クソオオオォォォォ〜!!)

 と、要は心の中で叫び無意識に身体中に力を入れていた。

 すると両手が赤くなり、炎が現れ縄を燃やした。

(えっ⁉︎え〜っと。今、使ったのって魔法なのか?ってことは、この力を使えば涼香を助けることができるかも)

 そう思い要は、外の兵士たちを倒し、他の兵士たちに気づかれないように変装をして、城を抜けだした。

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