任意という名の強制聴取
ピンポンピンポーン
チャイムが急かすように部屋に響く。
俺はインターホンに出た。
「おやすみ中すみません、多摩警察署の杉田と言います。ちょっとお尋ねしたい事がありますのでお話聞かせて頂きませんでしょうか?いや、お手数お掛けしませんので」
鍵を開けると二人の男が入ってきた。
「吉澤警部補!」
『ここだ!』
『お前たちにしては手際が早いな』
「当たり前じゃないですか!」
「よくご無事で・・」
『無事じゃない、死んでしまったんだからな』
「ああ、そうでした・・・すみません」
俺ですら1時間半前に起こった出来事を噛み砕けていないと言うのに、この二人はもう理解しているというか。
『第1発見者の高梨さんだ。今回我々の捜査協力に進んで協力していただける事になった』
ちょっと待て。
俺は何も言ってないぞ。
『しかも霊媒能力が高い』
「高梨さん、捜査協力ありがとうございます。細かい話は署でお伺いしますので御同行願えませんか」
「ことわれ・・ないんでしょうね。」
「残念ながら。これの効力は出来れば使いたくないものですから。」
先ほど杉田と名乗った男はスーツの内側を見せる。
ホルスターに収まった拳銃、ではなく折り畳まれた紙だ。ガサ状、いわゆる家宅捜査令状だろうか。
家宅捜査した結果、血痕のついた衣服や拳銃、被害者の所持品が見つかる・・バッドエンドしか見つからない。
外には紺のセダンが停まっていて一人の男が運転席からこちらを見ている。
やれやれ。
リアシートの真ん中に挟まれる様に乗せられるとセダンは昼下がりの住宅地を静かに滑りだしていった。