42話〜隠し扉はどこに
ハクリュウ達は3手に分かれ、城に乗り込む事にした。
そしてハクリュウは、ラシェルとハウベルトと共に城の裏手に廻り侵入する場所を探していた。
「カプリアさんが言っていた場所は、この辺のはずなんだけど。ハウベルト、そっちはどうだ?」
「ハクリュウ様。こちらにも扉らしき物は見当たりません」
「おかしいですね」
3人は辺りを見渡してみた。
「ん〜、これってもしかしたら、隠し扉になってるんじゃないかな」
ハクリュウはそう言うと考え込んだ。
「隠し扉だとしたら、魔法かなにかで、探さないとならないな」
「ハウベルト。トレジャーハンターとかの能力が無いと、隠し扉を探せないんじゃないのか?」
「そうだな。下手な事も出来ないだろうし。トレジャーハンターか……」
「それならば、確か、ユリナ様がトレジャーハンターだったはず」
「ユリナか。でも、元々の職はヒーラーだからな。トレジャーハンターの証が出たからって、能力を使う事は可能なのかな?」
「確かに、どうなんだろうな。だが今は、可能性が高い方法でいくしかない!」
「そうですね。しかし、どうやってユリナ様を、ここまで連れてくるのですか?あっ!今思い出したのですが、私は召喚魔法が使えたのでした」
「ラシェル。って、もしかして忘れてたとか?」
「え、えっと、ですね。ははは……」
「ラシェル様。その様子だと、完全に、忘れていたのですね。でも、召喚魔法をどう使うというのですか?」
ハウベルトは、しばらく考えてから、
「あっ、なるほど。そういう事なのか」
「なるほどって。どういう事なんだ?」
「ハクリュウ様。私の召喚魔法で、探索できる召喚獣を召喚すれば良いのではと思ったのです」
「なるほどな。そんな事が出来るのなら、ラシェルの召喚魔法で探す事ができるな」
「ラシェル様に召喚魔法で探して頂ければありがたいのですが、召喚魔法では城内の者達に気づかれる危険性があると思うのですが」
「確かに、そうですね。では、どうしましょう」
「それでなのですが、私は魔法騎士でありながら、精霊を操る事も出来るのです」
「待って下さい。確か精霊を操る事が出来るのは、魔法騎士の中でも極わずかと聞いています」
「ええ、そのようですね。ですが、いつの間にか使えるようになっていました」
「それって、そんなにすごい事なのか?」
「はいかなり凄い事です。魔法騎士の中でも精霊を操る事が出来るのは、マスタークラスだったはずですので」
「じゃ、ハウベルトは、マスタークラスって事なのか?」
「いえ、その上の天聖のクラスですが」
「ハウベルトさんて、いったい?」
「あれ?ハクリュウ様とラシェル様には言ってませんでしたっけ?王直属の騎士団の団長をしているっていう事を」
「ん〜、覚えてないけど」
「私も、覚えていません。多分、聞いてないと思います。しかし、騎士団の団長クラスでも天聖のクラス自体なる者は少ないはずですが。それにその若さで」
「確かに、皆によく言われます。嘘ついているんじゃないかって」
「いえ私は、こう見えても人を見る目はあると思います。ハウベルトさんが嘘がつける人とは思えません」
「ですが、ホワイトガーデンにも、1人天聖クラスの人がいたはずですが?」
「ええいましたが、今は城にはいません。ですが、そうですね……ここにはいると言った方がいいのでしょうか」
「ラシェル様。その者とは、グロウディスさんですよね?」
ラシェルは驚いた様に、
「何故、分かったのですか?」
「これでも一応は、各王国のNo. 1クラスの強者は、チェックしていましたので」
「ハウベルトさん、流石ですね」
ハウベルトは照れた顔になり頭をかきながら、
「では、精霊を使って扉を探してみます」
ハウベルトは、目を閉じて剣を横にすると剣先を左手でつかみ、
《光の精霊よ 汝の力により 先の道を示せ!!》
目の前に金色の光の精霊が現れ、煌めく眩い光を放ちながら螺旋を描き刃を覆った。すかさず、剣を天に突き上げると、刃を覆っているその精霊の光は強く輝きを増していった。
それを確認すると縦一直線に目の前に振り下ろし突き出した。すると、ポワンと音を立て光の波紋ができ、金色の光の精霊は、その波紋に乗り華麗に蝶のように波紋から波紋に舞い踊りながら、ハクリュウ達より右側の城壁の前まで来ると静止した。
そして、金色の光の精霊は煌めく光を放ちながら右手の人差し指で城壁を軽く触ると扉が現れた。
「すごいもんだなぁ。魔法騎士か、多分俺じゃ無理だろなぁ。魔力は、あまり期待できないしな」
「ハクリュウ様は、確か、ソードマスターでしたね。それだと確かに魔力は期待出来ないですが、技などの威力はあるのではないのですか?」
「ん〜、どうなのかな?今までも大技は持っていても、あまり使ったことがないからな」
「何故ですか?そういえばクロノア様が、慎重すぎると言ってましたが?」
「俺は、無駄に力を使いたくないだけなんだけど。でも、確かにクロノアが言ってた通り俺はギリギリまで大技を使わず、いつも体力ギリギリで勝ってきた」
「それでは、いつ死んでもおかしくないのでは?」
「確かに、そうだなぁ」
「今日は出来れば、ギリギリの戦いだけは避けてほしい所ですが」
ハクリュウは苦笑いをしながら、
「ははは……。そうだな」
そして、ハクリュウ達はそっと扉を開け中に入っていった。