第三十三話 ライムバッハ家
「ユリアンネ。帰ろう。ラウラとカウラの所に・・・。父上も母上も、そうだ、ルグリタもロミルダも待っているよ」
”あぎゃ。あぎゃ。”
ん?
奥の茂みから赤ちゃんの泣き声がする。
俺が、初めてユリアンネにあげたぬいぐるみを持った赤ん坊が、泣いている。
ユリアンネは、この子を守ったのか?
そうか、カール。おまえだけは生き残ってくれたのだな。
「カール。ユリアンネ。帰ろう。もう大丈夫だ」
カールを肩に固定して、片手でユリアンネを持ち上げた。
「ユリアンネ。軽いな。しっかり食べなきゃダメだぞ」
ユリアンネを持ち上げたら、懐から、3つのタマゴが転がり落ちてきた。手紙も添えられている。ユリアンネの字だ。覚えている、何回か手紙を貰ったから記憶している。
『アルノルトお兄様へ』
そんな書き出しで始まる手紙だ
★☆★☆
お兄様。ご卒業おめでとうございます。
ユリアンネも中等部に入り、お兄様と同じ王都で暮らします。これから、よろしくお願いいたします。お兄様は、ユリアンネの自慢でございます。
領地にまでお兄様の名声は届いております。お兄様に負けないように、ユリアンネも頑張っています。
このタマゴは、クラーラさんから頂いた物ですが、お兄様にお渡し致します。
力を秘めている物で、持っていますと、お兄様のような力を感じます。
どうぞ貰ってください。それから、よかったら、ユリアンネの事もお願いします。
沢山、沢山甘えてしまうかもしれませんが、お兄様だけにです。
大好きなお兄様へ。ユリアンネ。
ラウラとカウラの気持ちにも気がついてあげてくださいね。
一番は、私ユリアンネです!!
★☆★☆
クラーラ?
あいつからのタマゴ?
・・・ユリアンネが大事にしていた物だし、タマゴには罪はない。
タマゴを拾い上げて、割れないように、布でくるんでから、懐にしまう。
確かに、力を感じる。精霊の力だ。検証は後だ。まずは、皆と一緒に帰ろう。
タマゴと一緒に、ラウラとカウラの髪飾りと拾った珠もタマゴと一緒に、布にくるんでおく。
カウラの所まで戻る。
面倒な奴らが居るが、まぁいいこのままで死んだらその時はその時だ。
”木の精霊よ。我アルノルトが命じる。籠を作成せよ”
大きめの籠を作る。カールは抱きかかえたままユリアンネ。カウラ。と乗せていく。
「お前たち、自分で動けよ。載せるのにも一苦労だな」
”風龍。籠を我に続いて運べ”
少し魔力を抑えて、風龍で籠を浮かせて運ぶ事にした。
治癒ポーションはないが、魔力ポーションならまだある。飲み干しても問題ない。
父上と母上とルグリタとロミルダを乗せて、ラウラが待っている場所に向かった。
あれから、何日が立っているのだろう。5分位のきもするが、半日以上経っているきもする。
ライムバッハ家の馬車が散乱している所まで戻ってこられた。
馬車を誰かが探っている。
カール達を一時置いて、土壁で防御壁を作ってから
駆け出した
「誰だ!」
問答無用で刀を抜いて切り込んだ。
チン!
刀が弾かれた。距離を取ってから、構えた。
「アル。俺だ!」
俺?
誰?
「イーヴォ・・・・さん」
「あぁよかった。おまえは無事だったのだな。ラウラ嬢が・・・」
「ラウラ。そうだ、ラウラ!どこに居ますか?ラウラ!ラウラ!」
「落ち着け。さっき、馬車から降ろした。残党が居たが、全員捕らえた」
「あっありがとうございます。そうだ、ユリアンネと父と母とカウラ達を連れてきます。事情説明はそれからでいいですか?」
★☆★☆ Side イーヴォ
どうするか?
依頼として受けたからには、しっかりやる。それに、俺が、アルを気に入っているのも事実だ。こんな事で死ぬにはもったいない。
飛び出していったとしても、今から追えば間に合うだろう。
調査は、シュロートの所に依頼すればいいだろう。
そう考えた俺は、シュロート商会に急いだ。
何か慌ただしい。何かあったのか?
店舗に入る。
「シュロートは居るか?少し頼み事がある」
「イーヴォ。今、それどころではない」
「いいから、話を聞け。俺も急いでいる。大金貨一枚で、ルットマンとライムバッハ家の関係、襲撃に加わった者の素性を調べてくれ。詳細は、アルノルト・フォン・ライムバッハに頼む」
「・・・イーヴォ。今、なんと言った。誰からの依頼だ!」
「アルノルト・フォン・ライムバッハだ。頼めるか?」
「おい。ギルベルト。行ってくれる奴が見つかったぞ」
「おやじ。本当か?」
「あぁ凄腕の冒険者だ!」
「シュロート。どういう事だ!説明しろ」
シュロートが慌ただしかったのは、アルの支援の為に、冒険者や護衛を集めていたからだ。シュロートたちも、アルの救出の為に動いていたのだ。
お互いが持っている情報のすり合わせが終わった時に、ユリウス殿下とクリスティーネ嬢と教会の聖女と言われるエヴァンジェリーナ嬢が現れた。アルのクラスメイトだと聞いている。
「ギル。俺たちも行く」
「ダメだ。ユリウス。おまえでも、それを許すわけにはいかない」
「なぜだ。ギル。俺もアルやラウラやカウラを助けたい」
「わかっている。俺も同じ気持ちだ。でも、ダメだ。アルが大丈夫だと言っていた。待っていろと言っている。だから、俺は待つ事にした」
「ギル。おまえ」
「・・・あぁ”すぐに”でも行きたい。力になれないかも知れない。でも、俺でも何か役立つかもしれない。でも、ダメだ。俺は、アルと約束した。だから、ユリウス。お前にも守ってもらう」
「・・・解った。しかし、これはどうした」
「俺は行かないが、このイーヴォさんに行ってもらう。アルへの援護射撃じゃない。証拠集めのためだ」
「・・・イーヴォ殿」
「なんでしょう。ユリウス殿下」
「別に殿下など呼ばなくていい。一つお願いを聞いて欲しい」
「私に出来る事なら」
「是非やってほしい。アルノルト・フォン・ライムバッハに伝言を頼みたい。俺は、奴にまだ何も勝てていない。『勝ち逃げは許さない』と伝えて欲しい。それと、一発殴って欲しい」
「解りました。必ず。その言葉伝えましょう。殴るのは、ご自分でお願いします。シュロート。精鋭だけでいい。馬に乗れるやつだけで行くぞ。まだ半日も時間が経っていない。追いつくぞ!」
「「「おぉぉぉ!!」」」
馬を走らせた。
一向にアルの姿が見えない。あいつどんな移動手段を使った?
半日程度なら、そろそろ追いつくはずだ。
街道沿いに設置されている休憩所で、馬の疲れが亡くなるまで休憩して、夜通しで来たが、追いつけない。
何度か、商隊が立ち往生していたから、話を聞いたが、アルを見た者は居なかった。
街道が渋滞している。詰まっている先頭に来たら、誰かが戦った後があった。
つい先程、子供が一人でこいつらを一瞬で切り倒したと話している。アルに違いない。特徴的な刀を武器に使っている。
切られた奴らは、重症ではあるが命に別状はなさそうだ。一番怪我が軽そうな奴を、蹴り飛ばして起こして話を聞いた。自分たちは”悪くない”の一点張りだったが、ルットマンに言われて、ここで商隊を止めていただけだ。
アルはルットマンの言葉で、敵と認識して瞬間的に切ったのだろう。見事の切り口で、火の魔法で傷口を焼いているから血も思った以上に出ていないが、治癒魔法で治るレベルではない。こいつらは犯罪奴隷になるのは間違いないが腕がない奴隷なぞ使い物にはならない。よくて男娼だろうな。
商人にお願いして、6人を冒険者ギルドに届けさせた。あそこに送っておけば、情報を引き出したりするのだろう。
そのまま街道を急ぐ。
何台かの馬車が立ち往生している。賊なのか、何かを物色している。
連れてきた奴らに命令して、全員を生かしたまま捕らえた。
やはり、ルットマンが集めた奴らで間違いはなかった。数名は、意識がはっきりしていたが、それ以外の奴らは何が有ったのか恐怖で、精神が壊れてしまっている。
巨大な炎の蛇や水の蛇が襲ってきたと言っている。
「イーヴォさん。この子は?」
「あっ・・・ラウラ嬢。背中からの刺し傷・・・か・・・。卑怯者が紛れていたのか?他には?」
「いえ。ドレスなども有りました・・・。護衛らしき者の死体は有りましたが、ライムバッハ辺境伯や奥方はいらっしゃいません」
「そうか、アルが助けたのか?伏せろ!」
チン!
剣で防げた。
殆ど偶然だ。どこから・・・。アル!
「アル。俺だ!」
「イーヴォ・・・・さん」
「あぁよかった。おまえは無事だったのだな。ラウラ嬢が・・・」
「ラウラ。そうだ、ラウラ!どこに居ますか?ラウラ!ラウラ!」
ダメだ。
どこか、壊れたのかもしれない。
「落ち着け。さっき、馬車から降ろした。残党が居たが、全員捕らえた」
「あっありがとうございます。そうだ、ユリアンネと父と母とカウラ達を連れてきます。事情はそれからでいいですか?」
そうか、無事だった・・・・・・・違うか?
「アル。それは?」
小さな蛇。魔法で作っているのか?風の力を感じる。
「あぎゃぁあぎゃぁ」
「あ。イーヴォさん。だれか女性か、子供をあやすのが得意な人居ませんか?」
「・・・。あぁ居る。少しまて」
一人女性が居たので、呼んだ。
「カールです。ライムバッハ家の当主です。よろしくお願いします」
「わかりました」
女性が赤子を抱いて、その場を離れた。
「・・・ちょっと待て、アル。今。”当主”と言ったか?」
「え?あっはい。正確には、まだ当主ではありませんが、成人したら当主になります」
「なに?どういう・・・・。あぁぁぁすまん。アル。俺がもっと・・・ラウラ嬢だけじゃなく・・・」
「いえ。イーヴォさんの責任ではありません。俺も全力出しましたが間に合いませんでした。偉そうに言って情けないですね。でも、ラウラにもカウラにもユリアンネにも父上にも会えました」
「アル・・・」
「イーヴォさん。帰りましょう。皆を連れていきたいのですが良いですよね?」
「あぁ当然だ。先触れを出すけどいいな」
「そうですね。お願いします。あと、ここの荷物も持っていきたいのですがいいですか?」
「もちろんだ」
「あと、ゴミ掃除もお願いしていいですか?本当なら、俺が、
「あぁ・・・任せろ」
無事な馬車に、何で作ったのか解らないが立派な籠を乗せた。
荷台には、アルの家族だけになるようにした。辺境伯の荷物だろう。それらも乗せられるだけ全部乗せた。
馬車二台は無事だったので、それで王都まで帰る事にした。
道中ぼつぼつとアルが語りだした。
”あの方”と呼ばれている奴の事や、帝国貴族のボニートの事。あの方と呼ばれるやつが何らかの意図を持って暗躍していた事。
エタンとブノアと呼ばれる者や、ライムバッハ家の食客であったクラーラが、その組織に属しているであろう事。
アルは途中で思い出したかのように、リーヌス・フォン・ルットマンを閉じ込めている事を語りだした。
同じ場所に10数人転がっているかもしれない事も話してきた。傷口を塞いでいないから死んでいるかも知れないし、魔物や獣の餌食になっているかもしれない。
急いで数名を、道を戻らせた。土壁で覆った中に捕えていると、アルは言っている。どういう魔法なのかわからないが、アルが言っているので正しいだろう。
”あんなゴミの為に手や足を動かすのはもうしたくない。死んでいるのなら、そのまま燃やしてしまえばいい。生きているにしても、そのまま死ぬまで放置しておけばいい”
そんな事を言っていた。
王都には、3日かけて戻った。
途中、遺体が腐敗するのではないかと思ったが、アルの奴、水の上位精霊の加護を得ているようで、起用に氷を作って冷やしていた。
そして、光魔法を使って、全員を癒やし続けた。死者に治癒魔法をかけても蘇生しない事はよく知られている事だが、此奴ならやるかも知れないと期待してしまう。
だか、そんな事もなく、王都に着いた。
王都には静かに入れた。
ユリウス殿下が取り計らってくれているようだ。
そのまま馬車は何も言われずに、学校の寮に着いた。
俺は、ここで待機する事にした。
この後は、
前に見かけた奴らが勢揃いしている。
アル達は、寮と呼んでいる屋敷の中に入っていった。
☆★☆★☆
「アル!」
「ギル・・・すまん。約束・・・守れなかった」
「いや、お前が・・お前が・・・うぁぁぁぁ」
「すまん。ギル」
「馬鹿!お前が謝るな!なんで、お前が謝る!!俺がお前を引き止めなければ、間に合ったかも知れないのだぞ!俺を責めろよ。アル。ラウラ。カウラ!!」
「ギル。ありがとう」
「”ありがとう”だと。俺を罵れ!俺が悪いと叩け。その刀で・・・。アル!俺はどうしたらいい。アル。なんとか言ってくれ!」
「ギル。アル。王家がしっかり貴族をルットマンの事を・・・すまん」
「ユリウス。それは違う。お前の責任じゃない。こんな事をした、リーヌスが責任を負えばいい」
「アル。俺たちは何が出来る。お前やラウラやカウラに何が出来る!」
「・・・ユリウス。クリスもギルも聞いて欲しい。頼みたい事がある」
「なんだ。なんでもやってやる」「あぁそうだ。言ってくれ」「そうですわ。ラウラとカウラの敵を取るのなら、協力する」
「クリス。それは、いい。俺の仕事だ。それよりも、ライムバッハ家の当主を頼みたい」
「な?どういう事だ?」
「カールを、ライムバッハ家の当主にしたい。協力してくれ。辺境伯でなくてもいい。カールがしっかり暮らせる様にしてほしい。金なら、マナベ商会を使ってくれ」
「アル。それは・・・」「解りましたわ。お約束します。カール様を立派な貴族にして、ライムバッハ辺境伯にしますわ」
「クリス。頼まれてくれるか?」
「もちろんです。ユリウス様。いいですわよね。アルノルト様が、
「そうだな。アル。わかった。・・・・でも、俺から一つ言わせてくれ」
「何でしょう」
「お前が無事で良かった。これは、俺の本心だ!」
「ありがとうございます。ユリウス様。カールはまだ1歳と幼いです。摂政するにしろ、信頼できる人が必要です。王家から人を出してもらえますか?」
「・・・あぁ任せろ。しかし、お前はやらないのか?」
「俺ですか?やる事があります。父上や母上を殺して、ラウラとカウラを殺して、ユリアンネを殺した奴を探し出して・・・・殺します」
「・・・リーヌスではないのか?」
「そうですね。リーヌスは道具です。道具を憎む気持ちはありますが、道具など壊れてしまえば興味がなくなります。だから、その道具を作って使った奴がいます。そいつを見つけ出して順番に報いを受けてもらいます」
「なっそれじゃお前。高等科はどうする?」
「休学ができなければ、退学でしょうね」
「いいのか?」
「しょうがないですよね。それよりもやるべき事ができてしまいましたからね」
ハンスがユリウスに近づいた
何か耳打ちした。
「なっそれは本当か?」
ハンスが一つ頷いた。
「どうした?」
「あぁ今早馬が来た。ルットマン子爵が、第一婦人に殺害された。一緒にいた、第二夫人と後継ぎも一緒に殺されたそうだ」
「なっ」
皆がハンスの方を見る。
ユリウスが頷いた
「本当の事です。ヘーゲルヒ辺境伯からも同じ知らせが入っています」
「ハンス。もう一度言ってくれ?誰から連絡が入った?」
「ヘーゲルヒ辺境伯です。」
「ユリウス!ヘーゲルヒ辺境伯は、俺の敵か?味方か?」
「敵だな」「ユリウス様」
「クリス。黙れ!俺が、アルと話す」
「・・・はい」
「ありがとう。ユリウス。それだけ解れば十分だ」
「行くのか?」
「あぁ。でも、暫くは、疲れたから休む。寮は使っていいですよね?クヌート先生」
影から、クヌート先生が現れた
「えぇ構いません」
「ありがとうございます。ユリアンネやラウラやカウラも一緒に休ませたいのですが、いいですか?」
「問題ないですよ。この寮は、もうアルノルト君の物ですからね。それに、エルマールとアトリアさんの事も有りますからね」
「ありがとうございます。父と母とルグリタとロミルダは、すぐにライムバッハの屋敷に帰ってもらって、そこで休んでもらいます」
「そうですね。それが良いでしょう。イーヴォさんに、頼めば問題なくやってくれるでしょう」
「そうします」
「アル。辺境伯を送り出すのは、数日待って欲しい」
「なぜ?」
「カール殿のライムバッハ家の継承と、お前の廃嫡。その上で、カール殿の後見人と、ライムバッハに向かわせた方が良いだろう。後継ぎが葬儀を取り仕切るのは当然の事だからな」
「あぁそうだな。ありがとう。俺は、自分の部屋で3人と過ごしているから、いつでもいいから決まったら教えてくれ。イーヴォさんには、ギルから依頼を出してくれるか?」
「あぁわかった」
「それでな。ギル。頼みがある」
「なんだ。なんでも言ってくれ」
「お前も、カールに着いてライムバッハに行ってくれないか?」
「いいぞ。そのくらいは、なんの問題もない」
「頼みはここからで、領内が落ち着くまで、カールの護衛をまとめて欲しい。そして、ライムバッハ領に、シュロート商店の支店か、お前の店を出して欲しい。頼めるか?」
「いいぜ!そんな事くらい、そんな事で、俺の罪が許されるとは思っていないが・・・」
「ギル。お前に罪はない。でも、引き受けて欲しい。お前にしか頼めない」
「あぁ大丈夫だ。ライムバッハ領に俺の店を作る。王国一の店にしてみせる」
「頼む」
皆に一言ずつ礼を告げてから、ユリアンネとラウラとカウラを連れて部屋に入った。
一人じゃ大変だったから、クリスとエヴァに手伝ってもらった。
3人が買ったドレスも無事だった。少し血で汚れてしまっていたが・・・。クリスとエヴァに手伝ってもらって、ドレスに着替えさせた。
ユリアンネには、黄色のドレス。髪の毛の色とも合っているし、何と言っても裾が可愛い。リボンもすごく可愛い。
ラウラには、シックな黒のドレスだろう。金髪とあいまってすごく綺麗だ。
カウラには、赤のドレス。活動的なカウラに似合っている。
クリスとエヴァに礼を言って、部屋から出て貰った。
4人だけで話しがしたいとお願いした。
「そうだ。ラウラ。髪飾り帰すな。あの時、一瞬だけお前を感じられたぞ。俺が、クラーラに一太刀入れられたのはお前のおかげだ」
「カウラ。ユリアンネを守ってくれてありがとうな。お前がいなかったら、ユリアンネと話しができなかったからな。本当に、ありがとう」
「ユリアンネ。もっと、いろいろ話しをして、もっといろんな所につれて行きたかったよ。でも、お前のおかげで、カールが救われた。それは間違いない。お前は立派なお姉ちゃんだ。そして、俺の自慢の妹だ」
「カウラにも髪飾り返すな。でも、不思議だよな。この髪飾りと、ボニートからドロップした珠が同じ物に思える。これは、ユリアンネが持っていろよ。そうだ。タマゴ。俺とラウラとカウラの卒業祝いだったのだよな。ラウラとカウラには俺から渡すな。ユリアンネ。起きて、俺に手渡せよ。そうしないと受け取らないからな」
「なぁ俺。どうしたらいい?お前たちの復讐はしたい。でも、復讐は・・・わかっている。俺の我儘だよな。お前たちは、復讐なんて望んでいないのだろう?」