25話〜ガルドとマグドの出会い
あれからガルドはユリィナ達と別れ1人で宿屋の食堂でお昼を食べていた。
すると、外が騒がしくなり、ガルドは何が起きたのかと思い窓から外をみた。
しばらくして、宿屋の扉が開き1人の兵士が入ってきた。
「申し訳ないが、人を探している。歳は18で身長は180㎝ぐらいの青年。名前はマグドと言う。恐らくは本名を名乗っていないかもしれない。もし、見つけたら城の方に連絡してほしい。ただ、その者を見つけても怪我などは負わせないでほしい。そういう事なので、よろしく頼む。では失礼する」
そう言うと兵士は外に出て他の店に向かった。
ガルドに背を向け前方のテーブル席に座っている男が、それを確認するかのように席を立ちフードで顔を覆い隠すように二階へと向かった。
ガルドはその男の行動が気になった。
(ん?何でアイツは兵士の話も聞かず、食べ終わった後もまるで隠れるように下を向いてたんだ?)
そう思いガルドはその男の後を追った。
(18か……。俺と同じ歳じゃねぇか。いったい、何をやらかしたんだ?でも何故、怪我をさせずにって、どういう事だ?)
そう思いながら後を付けるが、その男は階段の上で待ち伏せていた。
「フッ、お前!なかなか、感が良いようだな」
その男がそう言ったので、一瞬ガルドは驚き慌てたが冷静になり、
「なるほど。そう答えるって事は、お前があの兵士が言っていたマグドだな?」
「ああ、そうだ。だが、ぼ、あっ、ゴホンッ、お、俺は……」
そう言おうとしたその時、宿屋の主人が何かあったのかと心配になりガルド達の方にきた。
「お客様、どうなさいました?」
「あ、すまねぇ。こいつに話があり、俺が話しかけたんだが。ここじゃ、邪魔になるな」
「そうだな。俺の部屋で話すか?」
「ん?俺はそれで構わねぇが」
そう言うとガルドはマグドの部屋で話をする事にした。
宿屋の主人は、それを見ると安心した顔で下に降りていった。
そして、ガルドはマグドの部屋に入り、
「そういえば、まだ名乗ってなかったな。俺の名前はガルド=フレイ。そして、お前と同じ歳だ」
ガルドがそう言うとマグドは驚いた。
マグドは側近達の話を聞いていて、ガルドの名前を知っていたからだ。
(まさか、こんな所で簡単に神と契約したかもしれない男と会えるとはな。それも、僕と同じ歳とは……)
「それで、何で追われている?何かやらかしたのか?」
「いや、ちょっとな。それよりも、お前は1人で旅をしているのか?」
「ん?あっ、いや1人じゃねぇが?」
「そうか。仲間は足りているのか?もし、足りていなければ、俺を仲間に入れてくれないか?」
そう言われ一瞬ガルドは驚いた。
「な、仲間って!どういう事だ?お前は追われているんだろう?」
「ああ、そうだな。だが、別に俺は悪い事をして追われているわけではない」
そう言うとガルドは不思議に思い、
「それは、どういう事なんだ?」
「あ、それはな。まぁ、何て言えばいいのか。……そうだな。言えるとすれば、自分の屋敷を無断で出てきた。それで家の者が捜索願いを出したんだと思う」
「そうか、でも何で家出なんかしたんだ?」
「何でだろうな。だが多分、屋敷が窮屈でいやになったと言った方がいいかもな」
「なるほど。別に追われている訳じゃなく。お前家の者から逃げてるだけって事か。まぁ、そういう理由なら、俺も仲間に男がいた方がいいしな」
「……ガルド!仲間って、まさか女なのか?」
「ああ、2人とも女だ!だから、どうするか悩んでたんだが。話が合わねぇしな」
「ほぉ、どうやって口説いたんだ?」
「はあ?マグド何を言ってやがる。こっちは困ってるっていうのに。はぁ……」
「そうなのか。2人も女を連れての旅など、普通ならあまり聞かないと思うのだがな」
「だろうな。俺は、別について来いとは言ってねぇのに……。はぁ、あの2人はついてきやがる」
「なるほど。それは、お前の本心か?まあいい、その仲間に会わせてくれないか?」
「はあ?ああ、そうだな。そういえば、さっきレストランの前に2人とも置いて来たんだった」
「ガルド!お前、何故女2人残し1人で戻って来た?」
「あ〜いやちょっとな」
「喧嘩でもしたのか?」
「それは……」
そう言っていると部屋の外で女の声が聞こえてきた。
ガルドはその声がユリィナだと分かり急ぎ扉を開け部屋の外にでた。
マグドはガルドのその行動を見て笑みを浮かべていた。