10話〜灰色の守護者【挿絵】
ここは、とあるどこかの町。そして一人の女子高生が、ブツブツ言いながら道を歩いていた。
「にゃんで? もお〜、ハクリュウにゃんもクロノアにゃんもゲームにインしてにゃいしさぁ」
そう言い溜息をつく。
「ウチのギルド【グレイススピア】のライバルでありにゃがら……。ハァ、流石にあの二人がいにゃいと、張り合いがにゃいんだよにゃ〜」
そう言うと、気が抜けた表情になる。
「あ〜、退屈にゃんだけど……」
この女子高生は
これでも、ギルド【グレイススピア】のマスターである。
ハンドルネームはノエル。強いギルドのマスターだが、かなりお洒落に関してうるさい。
そしてハクリュウのギルド【ギガドラゴン】とクロノアのギルド【ブラックローズ】と並び、三強ギルドと言われ競い合っていた。
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ノエルは家に着くと夕食を食べ二階に上がり、アニメの録画予約を済ませてからパソコンの前に座る。
(ヨシ! 流石に今日は二人共、もしくはどちらかインしてるよね)
そう思いながらパソコンのスイッチを入れた。そして、いつものようにゲームにログインする。
するとその瞬間、ハクリュウやクロノアと同じようなことが叶恵〈ノエル〉の身にも起こった。
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……――目を開けると、そこには一人の女性がノエルをみている。
「あの〜、申し訳ありません。貴女は異世界人さんですか?」
「あのですね。いきなり言われても、にゃにがにゃんだか分からにゃいんだけど。それに私が貴女に、ここはどこかと聞きたいです」
「あっ、これは失礼しました。ここはシェルズワールドという世界で……我が国グレイルーズにある、神秘なる遺跡の祭壇。そして、私はシャナと申します」
「私は……」
ノエルは一瞬、自分の本名を名乗ろうとした。だが、自分の姿や目の前のステータス画面などをみて言うのをやめる。
そう、ゲームの姿と名前になっていることに気づいたからだ。
名前はノエル、レベルが190。そして、ギルマスらしからぬアサシンである。
「あっ、私はノエル。ここって、もしかして異世界にゃの?」
そう聞くとシャナが、ノエルの手を握った。
「そうですが。あの〜、貴女のような御子様が……本当に私たちの助っ人である異世界人なのですか?」
シャナは首を傾げる。
そうノエルは可愛い服が好きで、いつも子供っぽい服を身につけていた。そのうえ、アバターもツインテールにしており髪もピンク色である。
それと可愛くみせるため、身長も低く設定していた。そのため、子供のようにみえてしまい勘違いされたのである。
「えっと……これでも一応、私は十七歳。自分では、強いと思ってるんだけど。だから、見た目で判断しにゃいで欲しです!」
ノエルは、少し怒り気味で言った。
「これは失礼しました。しかし、ノエル様が本当に強いのか気になります。申し訳ありませんが、実力をみせて頂けないでしょうか?」
そう言うとシャナは、攻撃体勢に入る。
「……って、いきにゃり戦闘!?」
ノエルは、仕方なく身構えた。
シャナは杖を持ち、魔法で攻撃しようとする。
だが瞬時にノエルは両手にナイフを持ち構えた。その後、素早くシャナの後ろに回り込んだ。
【挿絵:もけもけこけこ様作】
《奥義 真空の刃!!》
風を切るように、交互に素早く斬りつける。
シャナは一瞬のことで避ける隙もなく、背後をつかれ右腕を斬りつけられ片膝をついた。
「うっ……これほどに強いとは、思いもよりませんでした。ノエル様は紛れもなく、灰色の守護者様です。御無礼、申し訳ありません」
シャナはそう言うと、ポーションを飲んだ。
その後シャナはノエルに事情を話し始める。
「ノエル様を召喚した理由なのですが。そのことについては王に会って頂き……話を直接、聞いて頂きたいのです」
「にゃるほど、分かったわ。それじゃ、シャナにゃん……よろしくね!」
「はい! ノエル様、これからよろしくお願いします」
そして二人は、少し休んだ後その場を離れグレイルーズの城へと向かったのだった。