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10話〜灰色の守護者【挿絵】

 ここは、とあるどこかの町。そして一人の女子高生が、ブツブツ言いながら道を歩いていた。

「にゃんで? もお〜、ハクリュウにゃんもクロノアにゃんもゲームにインしてにゃいしさぁ」

 そう言い溜息をつく。

「ウチのギルド【グレイススピア】のライバルでありにゃがら……。ハァ、流石にあの二人がいにゃいと、張り合いがにゃいんだよにゃ〜」

 そう言うと、気が抜けた表情になる。

「あ〜、退屈にゃんだけど……」

 この女子高生は灰麻叶恵(はいま かなえ)、十七歳。かなりのオタクでアニメや、ことゲームに関しては天才的なセンスを発揮するほどだ。

 これでも、ギルド【グレイススピア】のマスターである。

 ハンドルネームはノエル。強いギルドのマスターだが、かなりお洒落に関してうるさい。

 そしてハクリュウのギルド【ギガドラゴン】とクロノアのギルド【ブラックローズ】と並び、三強ギルドと言われ競い合っていた。


 ★☆★☆★☆


 ノエルは家に着くと夕食を食べ二階に上がり、アニメの録画予約を済ませてからパソコンの前に座る。

(ヨシ! 流石に今日は二人共、もしくはどちらかインしてるよね)

 そう思いながらパソコンのスイッチを入れた。そして、いつものようにゲームにログインする。

 するとその瞬間、ハクリュウやクロノアと同じようなことが叶恵〈ノエル〉の身にも起こった。


 ★☆★☆★☆


 ……――目を開けると、そこには一人の女性がノエルをみている。

「あの〜、申し訳ありません。貴女は異世界人さんですか?」

「あのですね。いきなり言われても、にゃにがにゃんだか分からにゃいんだけど。それに私が貴女に、ここはどこかと聞きたいです」

「あっ、これは失礼しました。ここはシェルズワールドという世界で……我が国グレイルーズにある、神秘なる遺跡の祭壇。そして、私はシャナと申します」

「私は……」

 ノエルは一瞬、自分の本名を名乗ろうとした。だが、自分の姿や目の前のステータス画面などをみて言うのをやめる。

 そう、ゲームの姿と名前になっていることに気づいたからだ。

 名前はノエル、レベルが190。そして、ギルマスらしからぬアサシンである。

「あっ、私はノエル。ここって、もしかして異世界にゃの?」

 そう聞くとシャナが、ノエルの手を握った。

「そうですが。あの〜、貴女のような御子様が……本当に私たちの助っ人である異世界人なのですか?」

 シャナは首を傾げる。

 そうノエルは可愛い服が好きで、いつも子供っぽい服を身につけていた。そのうえ、アバターもツインテールにしており髪もピンク色である。

 それと可愛くみせるため、身長も低く設定していた。そのため、子供のようにみえてしまい勘違いされたのである。


「えっと……これでも一応、私は十七歳。自分では、強いと思ってるんだけど。だから、見た目で判断しにゃいで欲しです!」

 ノエルは、少し怒り気味で言った。

「これは失礼しました。しかし、ノエル様が本当に強いのか気になります。申し訳ありませんが、実力をみせて頂けないでしょうか?」

 そう言うとシャナは、攻撃体勢に入る。

「……って、いきにゃり戦闘!?」

 ノエルは、仕方なく身構えた。

 シャナは杖を持ち、魔法で攻撃しようとする。

 だが瞬時にノエルは両手にナイフを持ち構えた。その後、素早くシャナの後ろに回り込んだ。

【挿絵:もけもけこけこ様作】

 
挿絵



 《奥義 真空の刃!!》

 風を切るように、交互に素早く斬りつける。

 シャナは一瞬のことで避ける隙もなく、背後をつかれ右腕を斬りつけられ片膝をついた。

「うっ……これほどに強いとは、思いもよりませんでした。ノエル様は紛れもなく、灰色の守護者様です。御無礼、申し訳ありません」

 シャナはそう言うと、ポーションを飲んだ。

 その後シャナはノエルに事情を話し始める。

「ノエル様を召喚した理由なのですが。そのことについては王に会って頂き……話を直接、聞いて頂きたいのです」

「にゃるほど、分かったわ。それじゃ、シャナにゃん……よろしくね!」

「はい! ノエル様、これからよろしくお願いします」

 そして二人は、少し休んだ後その場を離れグレイルーズの城へと向かったのだった。

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